データ環境を仮想化する--ストレージの将来形を示すピュア・ストレージ - (page 2)

末岡洋子

2019-09-19 06:00

コア製品全てをアズ・ア・サービスへ

 ハイブリッドクラウド関連でPure Storageは、「Cloud Data Services」としてハイブリッドクラウドの移動性と一貫性のあるストレージサービス、APIを提供している。

 この分野の取り組みを説明したバイスプレジデント兼チーフアーキテクトのRob Lee氏は、「Evergreen Storage」として最新の技術にアップグレードできるサービスを提供してきたこと、管理側ではクラウドベースの「Pure1」、RestAPI、予測型サポートなども持つことを紹介した。これにより、「クラウドのような自動化と管理体験を実現する」とLee氏は語った。

 2018年に同社は、コンテナー向けストレージサービス「Pure Service Orchestrator」、VMware環境向けの統合されたマネジメント「VMware Analytics」、それに完全にOPEXモデルのサブスクリプションサービス「Evergreen Storage Service(ES2)」を発表した。これらの開始から1年が経ち、顧客の反応は良好だといい、今回から満を持してブランドを「Pure as a Service」に名称を変更する。

 Lee氏は、「(Pure as a Serviceは)Pureの全製品をカバーする統合された新しいサブスクリプションサービスだ。このようなサービスは業界初だ」と続けた。なお、Pure as a Serviceで提供する最新のサービスとして、VMware Analyticsに高度な機能を加えた「VMware Analytics Pro」も発表している。

Pure Storage チーフアーキテクトのRob Lee氏
Pure Storage チーフアーキテクトのRob Lee氏

 パブリッククラウドでは、2019年に前半にローンチしたフラッシュとクラウドストレージ向けのデータ保護プラットフォーム「Object Engine」を紹介した。そして、2018年にベータ版を発表したAWSと連携するための「Pure Storage Cloud Block Store for AWS」の一般提供を開始したことも発表した。Pure StorageのストレージOS「Purity」をクラウドで動かすことで、オンプレミスとクラウド環境で共通のストレージ管理を実現するというコンセプトであり、60社がベータプログラムで利用し、テスト・開発、ディザスターリカバリー、リフト&シフトのアプリケーションマイグレーションなど、さまざまなユースケースがあったという。

 「オンプレミスとクラウドの間の最大の差は、Tier1アプリケーションの移動だ。Cloud Block Storeはこの問題を解決する」とLee氏。FlashArrayで動いているソフトウェアをAWSのクラウドで直接動かすことができ、Pure Storageの予測型サポートやPure1を利用した管理も継続して利用できるという。一般提供になっただけではなく、AWS Marketplaceやパートナー経由でも購入できるようになった。Pure as a Serviceの一部としても提供される。

 パブリッククラウドでは、これまでAWSが連携に向けた取り組みの中心だったが、Microsoft Azureについても、クラウドへのバックアップでAzure向けの「CloudSnap for Azure」を発表した。既にAWS向けは提供されているもので、迅速なデータ保護を実現するという。Lee氏は「Pure Storageはさまざまな方法で顧客がクラウドに迅速に移行できるよう支援する」と述べた。

 この他の新製品としては、「FlashArray//C」も注目度が高い。ノートPCが中心でエンタープライズ向けでは例が少ないクアッドレベルセル(QLC)NANDフラッシュを採用したもので、性能への要求が下がるTier2アプリケーションでもフラッシュをという位置付けだ。それもあって、先行機種「FlashArray//X」が性能を誇るのに対し、キャパシティ(Capacity)のCを冠した。

「FlashArray//C」
「FlashArray//C」

 また、SSDとメモリーの間のデバイスとしてIntel Optaneストレージクラスメモリーと、Pure Storageの「DirectMemory Cache」を組み合わせた「DirectMemory Modules」も発表。FlashArrayの空きスロットに入れることで、ホットデータへ高速にアクセスできるようになる。OLTPとOLAPの高速化が図れ、SAPなどミッションクリティカルアプリケーションの性能を最大2倍高速化できるという。

「DirectMemory Modules」
「DirectMemory Modules」

 基調講演の最後にCEOのGiancarlo氏は、「今後数年で全てのアプリ、全てのプロトコル、全てのストレージクラス、全てのクラウドをサービスとして届ける世界を約束する」と述べた。「Pure Storageの最初の10年は、それまでのストレージとは異なる体験を提供することだった。次の10年は、ストレージをモダンデータエクスペリエンスにトランスフォームする」(Giancarlo氏)

(取材協力:ピュア・ストレージ・ジャパン)

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