阿里巴巴集団(アリババグループ)は、未来のデジタル経済を動かすには「デジタル化とスマートさ」が重要だとして、ハードウェアとソフトウェアの両面で自らの能力を高め、企業の業務のデジタル化を支援しようとしている。中国企業である同社は、安全保障上の懸念の問題に直面せざるを得ないが、その一方で、多くのグローバルエンタープライズ顧客にとっては、その中国市場との結びつきが大きな魅力になっている。
アリババは1年前に独自の人工知能(AI)チップを開発する計画を明らかにしていたが、現地時間9月25日、杭州市で開催した同社主催の年次イベント「Apsara Computing Conference」で、公式に推論用NPU「Hanguang(含光)800」を発表し、ハードウェアとソフトウェアの両方を手掛ける一大勢力を目指す野心を明らかにした。中国の大手インターネット企業である同社は、これは「データインテリジェンス」時代の先駆けとなる重要な製品であり、今後の成長の原動力になると考えている。
アリババの会長兼最高経営責任者(CEO)Daniel Zhang氏は、基調講演の中で、「Hanguang 800のリリースは、次世代技術を追い求める上で重要なステップであり、コンピューティング能力の向上によってわが社の現在と未来の事業の発展を支えるとともに、エネルギー効率を改善する。わが社が、自社開発したハードウェアフレームワークを使用するのは初めてのことであり、チップの設計にはわが社のアルゴリズムが組み込まれている」と述べた。
Hanguang 800のコンピューティング性能はピーク時で7万8563 IPSに達し、ResNet-50推論テストにおける計算効率は 500 IPS/Wを記録したという。
実際アリババは、すでにこのNPUを社内の事業で利用しており、同社のECサイトの商品検索や自動翻訳、パーソナライズされたレコメンド機能、広告、インテリジェントな顧客サービスなどに使用している。
Zhang氏は、デジタル化によってデータインテリジェンスが消費を支えるようになり、顧客がより的確にニーズを表現できるようになったのと同時に、サプライチェーンも変革され、新たなプロセス、流通、ブランディング、そして新たな製品やカテゴリーが生まれていると語った。
アリババは、こうした新たな展開に対応するため、エコシステムを構築し、AI、クラウド、アナリティクスなどの重要な技術を統合してきたという。