米Gartnerは、ブロックチェーン技術に対する市場の期待が「幻滅期」の谷底へ向かっているとの見解を発表している(詳しい解説記事)。同社は、ブロックチェーン技術が実用的なものになるのが早くとも2028年頃と予想しているが、2021年頃には幻滅期から脱するとも予測しており、企業はブロックチェーンの動向に敏感であるべきだとコメントしている。
Gartnerが定義する幻滅期とは、実験や実装で成果が上がらず、テクノロジーや市場への関心が薄れた段階を指す。調査担当バイスプレジデントのAvivah Litan氏は、現在のブロックチェーン技術について、「大半の企業でのブロックチェーンプロジェクトは実験段階にとどまり、ビジネスのエコシステムをまたぐデジタルのビジネス変革を実現するには至っていない」と指摘する。
ただ、ブロックチェーン技術の革新的な進化は続いており、2023年までにはその拡張性や相互運用性が高まり、スマートコントラクトやクロスチェーンをサポートするようになるとも予想する。データの機密性にフォーカスしたプライベートな環境でのトランザクションにも対応するとし、これら技術の進化と組み合わせによって、非中央集権型のウェブを実現していくだろうと説く。
今回の見解についてガートナー ジャパン バイスプレジデントの鈴木雅喜氏は、「ブロックチェーンは複数の技術の集合体であり、その中核部分は今も著しい進化の過程にある。3年前と現在ではブロックチェーンの常識も大きく変化しており、今後5~10年を見通すと、ブロックチェーンがビジネスのみならず経済や社会の在り方までをも変革していく可能性がある。企業や組織の未来を担うリーダー層はテクノロジーの大きな潮流の中でも特にブロックチェーンの動向に敏感であるべきだ」と述べている。
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