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“トランスフォーメーション”でのクラウドの使い方に提言--デルのCTO

大河原克行

2019-10-24 06:00

 Dell Technologies(デル/EMCジャパン)は10月23日、都内でプライベートカンファレンス「Dell Technologies Forum 2019-Tokyo」を開催した。同イベントの基調講演に登壇した米Dell Technologies Dell EMC最高技術責任者(CTO)のJohn Roese氏が講演後に記者会見し、デジタルトランスフォーメーション(DX)の現状と課題、DXに向けた同社の取り組みなどについて説明した。

米Dell Technologies, Dell EMCインフラストラクチャ ソリューションズグループ 最高技術責任者のJohn Roese氏
米Dell Technologies, Dell EMCインフラストラクチャ ソリューションズグループ 最高技術責任者のJohn Roese氏

 まずRoese氏は、「ほとんどの企業がDXの“旅路”を始めたばかり。その多くはDXの戦略がないままにスタートさせている」と課題を指摘した。そして、「多くの企業は小さなグループでデジタル化を進め、ここにIT部門が関わることはない。そのため一部のビジネスを変革できても全てを変革できない。IT部門はDXを全社規模で動かすためにどうするかを考えることが大切だ」と続けた。

 同氏の指摘する課題は、例えば、マーケティング部門では特定のパブリッククラウドを活用してDXを推進する一方、製造部門では工場とデータセンターを活用しながら、マーケティング部門とは異なるパブリッククラウドを活用している。さらに、営業部門ではモバイル、データセンターに加えて別のSaaSを活用している。このように部門ごとに利用しているパブリッククラウドがバラバラだ。

 「それぞれの部門は、それぞれに必要なものを構築し、インフラも必要な部分しか見ていない。大切なのは、II部門がマルチクラウドを実現するための定義をすることだ。そうしなれば、サイロができ、混沌とした状況しか生まれない。しかもパブリッククラウドは、“クローズドの道”に行こうとしている。IT部門は、テクノロジーを使えるようにするだけでなく、インフラを通じて、ビジネスを適切なところに導く必要がある」(Roese氏)

 さらにRoese氏は、次のようにも指摘した。

 「マルチクラウドは、クラウドを複数持つことが重要ではなく、2つの以上のクラウドを組み合わせることで効果を発揮させることにある。マルチクラウドを1つのクラウドシステムのようにして統合、利用できることが大切だ。分散したトポロジーを統一して活用でき、開発環境を統一し、管理も統合する。1つのクラウドの中で完結するような形にしなくてはならない」

 Roese氏は、CIO(最高情報責任者)が、単にクラウドがどこにあるかを理解するだけではなく、どの機能をそれぞれのシステムのどこにおけばいいかを理解し、それを統合した環境で開発、運用、管理することに注力しなければならないと説く。また、システムはソフトウェアを稼働させてこそ意味があるとし、「トポロジー全体で、さまざまな場所でソフトウェアが稼働するだけでなく、開発者が書きたい形で、コードを書けなくてはならない。開発者はマルチクラウドで稼働させることを意識せずに、コードを書くことができ、実装することができることが大切。それによって開発者はネットワーク、コンピューティング、ストレージを意識することなく、適切なところにアプリケーションを配置でき、ユーザーはそれを利用できるようになる」と語った。

John Roese氏が提起するITインフラ像
John Roese氏が提起するITインフラ像

 だが、この仕組みを持っているエンタープライズ企業はないとし、「まだビジョンを策定しているだけに過ぎない」と話す。その一方で、Netflixをはじめとする先進的なソーシャル企業はその仕組みを実現している。「それは、一つの目的のためにクラウドシステムを構築しているからだ。エンタープライズ企業は、それぞれに最適化したものを構築しようとしている。エンタープライズ企業が目指す“旅路”の目的地は、ここだと知るべき。それを支援することができるのが、われわれだ」とした。

 さらに、「われわれは、パブリッククラウドに対して、協業と競争という両方の立場にある。顧客にとっても、どちらか一方というわけにはいかない。パブリッククラウドとプライベートクラウドのどちらも必要。ワークロードはさまざまなところで稼働できると考えており、われわれは全てのツールをパブリッククラウドで活用してもらえるようにしている。だがパブリッククラウドプロバイダーは、自らのツールを利用してもらいたいと考えている。顧客にとってどれが最適か。われわれが持つエコシステムの活用を提案したい。いいポジョンにある」と述べた。

 またDellは、ITの変革において、クラウドデータコロケーションを提案する。このメリットについてRoese氏は、「データの出し入れという点でのコストが下がり、この部分で90%コストダウンできる。パブリッククラウドに近く、遅延の問題が起きにくい。さらにパブリックラウドと比べて、顧客がコントロールしやすいというメリットがあり、インターコネクトによってさまざまなクラウドサービスを活用できる特徴もある」などとした。

 さらに、現在のITシステムは分散したITトポロジーになっており、これをいかに、有機的につながるかが大切だとも提起した。その際、5G(第5世代移動体通信システム)によるITの影響力が大きいなどとし、そこにDellが提供するソリューション、技術を活用することが有効だと語った。

EMCジャパン 常務執行役員 システムズエンジニアリング統括本部長の飯塚力哉氏
EMCジャパン 常務執行役員 システムズエンジニアリング統括本部長の飯塚力哉氏

 同席したEMCジャパン 常務執行役員 システムズエンジニアリング統括本部長の飯塚力哉氏は、「さまざまなテクノロジーが散在している中でどう組み合わせていくかが大切だが、共通となるのはデータ。データを生かすためには、人工知能、ハイブリッドクラウド、エッジ、ソフトウェアデファインド、ワークフォースモダナイゼーションの5つのテクノロジーが重要になる。われわれは、ITトランスフォーメーション、ワークフォーストランスフォーメーション、セキュリティトランスフォーメーション、アプリケーショントランスフォーメーションからの取り組み、顧客のDXを支援することになる」と話した。

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