KPMGは英国に本社を置くHervey Nashと合同で世界108カ国、3645人のCIO(最高情報責任者)やIT担当者を対象に実施した意識調査「Hervey Nash/KPMG 2019年度 CIO調査(CIO調査)」の日本語版を刊行。これに当たり、KPMGコンサルティングは10月23日に説明会を開催した。
今回の調査では、テクノロジーへの投資を拡大した組織の割合が過去最高となった。コスト削減重視の組織もテクノロジー投資予算を拡大し、オートメーションなどコスト削減に寄与するテクノロジーに投資していると分かった。

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現在はどの組織もビジネスを変革し、パフォーマンスの向上を図るべくITを利用した取り組みを進めている。ITはビジネスが機能し続けるだけでなく、ビジネスの変革をするためにも重要な役割を果たすとどの業界の経営層も認識しているという。

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同説明会では、KPMGコンサルティング テクノロジー・トランスフォーメーション・グループ統括 執行役員パートナーの浜田浩之氏が登壇。これまで同社は、IT部門ではなく事業部門が主導でITサービスを導入することについて、IT部門からは見えにくいという意味で「シャドーIT」と呼んでいた。だが、事業部門が積極的にITサービスを取り入れるのは良いことでもあると考え、名称を「ビジネスマネージドIT」に変更した。
IT部門以外が管理するテクノロジー支出の割合は「1~10%」が36%と最も高い。ビジネスマネージドITが広がっている一番の理由は、入手や利用が比較的容易なクラウドベースのサービスが普及したからだという。
事業部主導のテクノロジー支出へのアプローチは「奨励されている」が11%、「奨励はされていないが認められている」が53%、「認められていない」が36%だった。この結果から、約3分の2の組織がビジネスマネージドITへの投資を許可しており、そのうち約10%は推奨していることが分かった。デジタルネイティブ人材の多い組織では、グローバル平均の約2倍の組織がビジネスマネージドITを推奨。ビジネスマネージドITを認めていない組織でも約6割が事業部門主導のテクノロジー支出が行われると回答した。
ビジネスマネージドITの利点は、市場投入までのリードタイムの短縮や顧客優位性・従業員満足度の向上だ。一方リスクは、顧客の信頼を築きにくい、サイバー攻撃の標的になる可能性が上がる、サイバー攻撃への準備が不足しているといったことがある。
今後について浜田氏は「ビジネスマネージドITは、ゆるやかに増えていくと予想される。リスクもあるので全面的に推奨する企業はなかなか生まれないと思うが、社内で完結しているシステムに対してクラウドを使ってみようといった小規模な取り組みであれば、逐一IT部門に聞く必要はないという企業は増えている」と述べた。