前回は、台風の例をもとにリモートワークの意義についてお話ししました。今回は、「では具体的に何をすればいいか」をご紹介します。
ハード面のチェック
まず、下記の表をみて、現在の環境でリモートワークが可能か確認してみましょう。
1 | 会社での仕事はノートPCでも可能だ | ハードの貸与 |
2 | 会社支給のノートPCがあり、在宅で使用できる | |
3 | 会社支給のノートPCには仕事可能な最低限のソフトウェアが入っている(WordやPowerPoint、その他のソフトなど) | |
4 | 会社支給のノートPCは、カメラとマイクが使用可能だ | |
5 | 会社スマホがある | |
6 | 会社スマホはテザリング可能だ | ネットワーク環境 |
7 | テザリングの容量は無制限、または通常の業務をするのに支障ない容量だ | |
8 | 家にWi-Fiがある | |
9 | 会社で利用が承認されているウェブ会議システムがある | 会議への参加 |
10 | ウェブ会議システムの使い方を認識しており、何回か使用してみたことがある | |
11 | グループウェアやチャットなど、コミュニケーション基盤がある | 仕事の補助 |
おおまかに分けると、PCやスマホ(ガラケーはNG)の貸与状況の有無、ネットワーク環境の有無、外部からの会議参加の有無の3つになります。これらが整っていればリモートワークは基本的に可能でしょう(工場勤務など、物理的に難しい方もいらっしゃるとは思いますが)
さて、みなさんの環境はいかがでしょうか。
11はメールでも代替できるので、「あればより良い」として置いておりますが、1~10が整っていると、安心、快適にリモートワークができます。
それぞれについて確認していきましょう。
1~4は、PCの支給についてです。私用PCを使用可としているところもあるかもしれませんが、セキュリティを考えると、私用PCより支給PCが効率的です。サイボウズでも以前は私用PCの使用を許可していましたが、セキュリティ確保のためカードリーダーを必須にするなど、煩雑な手順が必要でした。そこで、現在では在宅用のノートPCは会社支給としています。
スペックの関係でPCをリースではなく購入しているため、ほぼ全社員に在宅用のノートPCを支給しています。リースの場合だとスペックと照合しながら安価に抑えることも可能だと思います。
次にネットワーク環境です。8の「自宅Wi-Fi」は確認した方がよいでしょう。もちろん、自宅Wi-Fiを予備とし、会社支給のスマホのテザリングでネット環境につなぐのがベストです。会社支給の携帯がガラケーNG、と記載したのはこうした理由です。
自宅以外で仕事をする際に、一般的に公共のネットワークはセキュリティ面で安全性が低いことが多いです。テザリングを使用するのが便利で確実ですが、ハード面をシンクライアントにすることでセキュリティを担保し、利用OKにするといったことも可能です。
どこでセキュリティを担保するかによりますが、回線でセキュリティを担保するよりは、暗号化でセキュリティ担保する方が確実です。構築できるハード面との照合が必要になるでしょう。
最後は、外部からの会議参加の有無です。外部から会議に参加できないリモートワークは、業務を限定します。様々な環境を整える際に一つひとつ順番に行いながらも、外部からの会議参加への環境構築は必ず実施しましょう。
事業継続計画(BCP)の面でも、リモート会議が可能と不可能では、まったく仕事効率が変わってきます。会社支給PCにおける4も、会議参加のための確認です。
技術が発達し、「Skype」のほか「Zoom」や「appear.in」など様々なサービスが増えてきました。それらのサービスを法人として使えるようにするのがベストです。試したい場合は、無料で使える個人アカウントから使用を許可するとよいでしょう。先に挙げたウェブ会議サービスは、数回使えば難なく使用できるように設計されていますが、それでも初めての場合はハードルを高く感じるでしょう。使用する側だけでなく、受ける側(リアルで会議する側)も同様です。社内で何度かテストするなど“慣れ”を作っておくと安心です。