日立製作所(日立)は、同社のスマートフォンアプリ「ハピネスプラネット」を使用することで、組織の幸福感や「心の資本」が向上すると確認したと発表した。
心の資本とは、米国ネブラスカ大学の経営学者Fred Luthans名誉教授が中心となり開発した指標。心の資本が高まると、心身の健康に加えて業績や生産性も向上すると学術的に実証されている。心の資本は持続的な幸せを得られる能力を表す尺度として定義され、自ら進む道を見つける力(Hope)、自信をもって行動する力(Efficacy)、困難にも立ち向かう力(Resilience)、物事の明るい面を見る力(Optimism)という4つの因子で構成されている。
日立は2018年から公開実証実験を4回実施しており、これまでに83社、4300人が参加している。実験期間は、1回につき3週間程度。5人以上を1組とし、参加者はハピネスプラネットを使ってチームごとのハピネス度を計測して競い合う。また、自分の強みや状況に合わせた「働き方チャレンジ」を日々宣言して他の参加者と共有する。
日立によると、心の資本は実証実験前後で約33%向上し、この変化は営業利益に換算すると約10%の営業利益向上に相当するという。
幸福感の定量化は困難とされていたが、日立は人の無意識な身体運動のパターンの中に幸福感と強く相関する普遍的な特徴があると発見した。そして、ウェアラブルセンサーやスマートフォンに搭載されている加速度センサーを用いて、幸福感の計測・定量化を実現。さらに、幸福感と生産性の関係に着目した研究を重ね、両者に強い相関があることを実証している。