富士通と国立情報学研究所(NII)は、20Gbpsの高速大容量ネットワークを対象に収集・蓄積・解析を組み合わせた技術の有用性を検証する実証実験を行い、従来の技術では実現できなかった不審な通信の検知に成功したと発表した。
富士通とNIIは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が管理法人を務める「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)/重要インフラ等におけるサイバーセキュリティの確保」において、ネットワーク上の大量のデータを収集・蓄積・解析して不審な通信を抽出することで、ネットワークの監視や調査などを行う対応者へ対処法を推奨する技術の開発を行っている。
富士通は通信の規則性と関係性に着目し、汎用サーバーで高速大容量の通信データを対象とする解析を行い、ネットワーク上の大量データから正規の通信特性を逸脱する踏み台特有の通信を識別する技術を開発。今回の実証実験では、この技術を用いてNIIが構築した20Gbpsの高速大容量ネットワークを対象に収集・蓄積・解析を組み合わせた技術の有用性を検証した。
実証実験の概要図(出典:NEDO・富士通・NII)
実証実験の結果、大容量通信を行うネットワークにおいて通信データを欠損することなく、マルウェアに感染したサーバーなどの通信機器特有の不審な通信を検知することに成功したという。検知した不審な通信は正規業務の通信と同一の通信ポートを悪用したもので、大容量通信を行うネットワーク上では従来のセキュリティ装置で検知されないものだとしている。
富士通は、解析結果に基づきネットワーク管理者に対する対処方法の推奨を行う技術の開発を進め、2020年度に今回開発した技術と組み合わせたサービス化を目指している。NIIは、実証実験の成果を発展させ、サイバー攻撃発生時の被害状況を推定し影響範囲を極小化する手法の実現を目指すとしている。