欧州ネットワーク情報セキュリティ庁ENISAは、次世代のモバイル接続技術である5Gのネットワークにハッキングを試みる可能性が高いと考えられるグループのリストを公表し、5Gが普及すれば、通信インフラストラクチャーなどのセキュリティ上の脅威が拡大すると警告を発した。
5Gは、スマートシティやコネクテッドカー、自動化された工場、IoT(モノのインターネット)などをはじめとするあらゆるものをつなぐ役割を果たすため、新たなリスクをもたらす。
ENISAは、次世代モバイルネットワークが直面するセキュリティの脅威に関するレポートの中で、「このことは、さまざまな動機を持つ既存の脅威エージェントグループや、新しいグループから注目を集めるはずだ」と述べている。さらに、5Gの普及は、ネットワークに接続されたデバイスに対する攻撃手段を拡大する、新たな脆弱性をもたらすとも警告した。
「これらの事実は、既存の脅威エージェントグループの能力と目的を、過去には見られなかった形で変化させる可能性がある」とENISAは述べている。
ENISAが発表した5Gを脅かす潜在的な脅威のリストには、以下のようなグループが含まれている。
サイバー犯罪者:組織化されたサイバー犯罪者は高度な能力を持っており、データを盗もうとする試みと詐欺行為の両面で、5Gを標的とする可能性が高い。ENISAは「現時点ではまだ目立った収益化手段とはなっていないが、サイバー犯罪組織は活動の一環としてこのような攻撃(およびそのための準備)を行うようになる」と予想している。
内部関係者:内部関係者は重大な脅威になる可能性がある。これは主に、5G技術の中核部分に常に接しているためだ。5Gでは複雑さが増大するため、不注意な内部関係者による意図しないダメージが増える可能性もあるが、悪質な内部関係者が「重要なネットワーク機能へのアクセスを悪用して、影響が大きい、あるいは大規模なネットワーク自体の可用性の問題を、意図的に引き起こす可能性もある」という。不平不満のある内部関係者が悪意を持った外部グループの標的になり、金銭的報酬のために、内部関係者しか知らない情報を悪用する目的で雇われる可能性もある。