サポート終了のWindows 7とWindows Server 2008/R2--使い続ける方法

山本雅史

2019-12-11 06:00

 2020年1月14日で延長サポートが切れるWindows 7(以下Win7)とWindows Server 2008/ R2(以下WS2008/R2)は、いまだ多くの企業で利用されている。ちなみにデータベースのSQL Server 2008/2008 R2に関しては2019年7月9日で、既に延長サポートが終了している。

Windows 7の延長サポートの終了は2020年1月14日。Windows 7 Embedded Ultimate/Professionalの延長サポートも同日で終了する。ただ、Windows Embedded Standard 7は2020年10月13日、Windows Embedded POS Ready 7は2021年の10月12日で、リリース時期の違いから終了時期が異なっている。Windows Server 2008/R2、Windows Server Embedded 2008/R2も2020年1月14日に延長サポートが終了する(出典:MicrosoftのイベントIgnite2019より、以下同じ)
Windows 7の延長サポートの終了は2020年1月14日。Windows 7 Embedded Ultimate/Professionalの延長サポートも同日で終了する。ただ、Windows Embedded Standard 7は2020年10月13日、Windows Embedded POS Ready 7は2021年の10月12日で、リリース時期の違いから終了時期が異なっている。Windows Server 2008/R2、Windows Server Embedded 2008/R2も2020年1月14日に延長サポートが終了する(出典:MicrosoftのイベントIgnite2019より、以下同じ)

 特に、Win7に関してMicrosoftは、多くの企業で利用されていることを勘案し、Windows 7 Extend Security Update(以下Win7 ESU)を提供している。Win7 ESUでは、Win7 Pro(PCメーカーがPCにバンドルしているOEM版も対象)やWin7 Enterpriseを対象として、ESUの追加費用を支払うことで、緊急および重要と判断されたセキュリティアップデートだけがMicrosoftからユーザーに配布される。つまり、Win7の新しい機能などは提供されず、最低限のセキュリティパッチだけが配布されることになる。また、Win7 Homeは対象外だ。

ESUはWindows 7だけでなく、Windows Server 2008/R2、Windows Embeddedも対象としている。ただし、提供されるのはセキュリティパッチのみで、新機能などは提供されない
ESUはWindows 7だけでなく、Windows Server 2008/R2、Windows Embeddedも対象としている。ただし、提供されるのはセキュリティパッチのみで、新機能などは提供されない

 Win7 ESUは、セキュリティパッチの提供のみで、技術サポートなどはカバーしていない。技術サポートを受けたければ、別途「Microsoft Support Planを契約する必要がある。また、1年間ごとにデバイスごとに支払うことになる。購入に関しては、ボリュームライセンスのユーザーは「VLSC(Volume Licensing Service Center)」から購入できるが、それ以外のユーザーはMicrosoftの「CSP(Cloud Solution Provider)」パートナーによって2019年12月1日から提供されている。

 Win7 ESUは、継続的に提供されるものではなく、最大で3年間の提供となる。つまり、2023年1月14日でWin7は完全にサポートが終了し、一切のバグフィックスなどが提供されなくなる。要は、3年間のうちにWindows 10(以下Win10)に移行してもらうための有償の猶予期間といえるだろう。

 価格に関しては明確にされていないが、米国の事例では1年目(2020~2021年)は、25~50ドル(Enterpriseが25ドル、Proが50ドル)といわれている。2年目(2021~2022年)は1年目の金額×2倍、3年目(2022~2023年)は1年目の金額×4倍(2年目の金額×2)になる(1年ごとに2倍、4倍に費用が跳ね上がっていく)。金額面を考えれば、Win7 ESUを使うよりも、早期にWin10への移行を考えた方がいい。下手に2023年までWin7 ESUの契約を長引かせると、Win10を購入する金額以上の費用がかかってしまう。

 Win7 ESUについてMicrosoftは、当初ボリュームライセンスのユーザーだけに提供すると表明していたが、範囲が拡大したのは同社の想定以上にWin7からWin10への移行が進んでいないことも一因だ(特に、中小企業などではなかなか進んでいない)。そこで、CSPパートナー経由でボリュームライセンスユーザー以外もWin7 ESUを購入できるようにした。

 ちなみに、Win7で動作しているOffice 365に関しては、基本的にはサポート対象となるWin7がサポート終了になるため、新たなアップデートが行えなくなる。ただ、Win7 ESUによってWin7を2023年まで動作することなり、Office 365 Pro PlusもWin7ではセキュリティパッチのみ2023年まで提供されることになった。ただ、Win7上のOffie365 Pro Plusでは新機能などが提供されず、年2回のOffice 365のメジャーアップデートは適応できない。

 家庭向けのOffice 365 Soloなどは2020年1月14日以降、アップデートがない。家庭向けとはいえOffice 365 Soloは、年間サブスクリプションモデルのため、Win7ではサブスクリプションの延長ができないと思っておいた方がいいだろう(サブスクリプションを延長できWin7で動作しても、グレーゾーンの使い方になるため、動作しなくなる可能性もある)。Win7 ESUを購入する場合は、Win7 ESUのライセンスが有効な年はOffice 365 Soloも動作する。

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