NECは12月17日、第5世代移動体通信システム(5G)を地域限定で利用する「ローカル5G」事業に本格参入し、ネットワークインフラやアプリケーションなどのトータルソリューションを企業や自治体向けに提供すると発表した。
NEC 執行役員の吉崎俊文氏
併せて、同社自身が利用するためのローカル5Gの免許を申請し、玉川事業場内で2020年1月に開設予定の共創施設「ローカル5Gラボ」で利用する他、2020年以降にNECプラットフォームズの国内の甲府工場から順次、海外はタイ工場からローカル5Gを導入する計画も明かされた。
また、5Gの商用サービス化に向けては、「Stand Alone型5Gモバイルコア」の開発・提供も発表された。同社では既に9月からNSA(Non Stand Alone)型の5Gサービスを実現するための「仮想モバイルコア」を開発・提供しているが、今回のStand Alone型5Gモバイルコアでは、NSA型で必要だったネットワーク制御のための既設LTE設備の設置が不要となるため、新たに5Gネットワークを導入する事業者に最適だという。
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まず、全社的な立場から今回の取り組みについて概要を説明した執行役員の吉崎俊文氏は、個々の事業ユニット単位の発表ではなく、全社を挙げたデジタル変革(DX)への取り組みの一環として発表する形に変わったとし、今回の発表に関してもローカル5Gというネットワーク関連の発表としてではなく、全社で取り組む「デジタルフレームワーク」の存在を踏まえた上での取り組みとなると説明した。
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また同氏は、「2019年に世に出す」という同社のデジタルプラットフォームについて、「Edge」「Network」「Infrastructure」「Platform」「Application」の5層構造をシングルアーキテクチャーで統合したものだと説明し、「従来はバラバラに」やっていた個々の領域の事業を統合するようになったことが大きな違いだとした。
続いて、今回発表のローカル5G関連の詳細を説明したネットワークサービスビジネスユニット シニアエグゼクティブの渡辺望氏は、ローカル5G事業の強みとして「キャリアビジネスの経験で培った知見」と「全国に展開するエンジニアリソースによるサポート力」を挙げ、注力する市場としては「産業・社会のDXの中心となる5領域」である製造、建設、流通、交通、公共とし、さらにユーザー企業との共創の具体例として、三菱電機と取り組んでいる、キャリア5Gとローカル5Gを組み合わせる「製造業ハイブリッド5G」と、大林組/大裕と取り組む「建機の自律運転システム」を紹介した。また同氏は今後の目標として「2023年度までに100以上の企業・団体に提供」することを目指すとした。
NEC ネットワークサービスビジネスユニット シニアエグゼクティブの渡辺望氏