世界規模で見た場合、現時点でおよそ260億台のIoTデバイスが存在しているという。そしてそのうちのあまりにも多くが他のデバイスとの互換性を有していない。IoT標準規格の策定に取り組むOpen Connectivity Foundation(OCF)は、「OCF 2.1」仕様によってこの問題を解決したいと考えている。これはただの規格ではない。ネバダ州ラスベガスで米国時間1月7日から開催されている「CES 2020」では、数多くのメーカーが同規格に準拠したベータ版のデバイスを披露している。
OCF 2.1は、デバイスのアーキテクチャー間での基本的な相互運用性を維持しつつ、スマートホームと商用のスマートデバイスの双方に向けたバーティカルなIoTデバイスを開発できるようにすることを目的としている。また、リソースに制約のあるデバイスから、リソースを豊富に使えるデバイスまでに対応できるスケーラビリティーを備えることも目的としている。
OCFのアーキテクチャーはリソース指向のRESTアーキテクチャーをベースにしている。また、既存のIoTエコシステム間の溝を埋めることも念頭に置いて設計されている。そして、BluetoothやEnOcean, ZigBee、Z-Waveといったネットワークプロトコルに対する詳細な実装を提供している。
OCF 2.1には、既存のクラウドと連携するための仕様が含まれている。Resideoのコネクテッドホーム事業担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるScott Harkins氏は、これが重要な点だとし、「今日のスマートホームはとてもスマートとは言えず、目的を果たすためのアプリと、競合する通信プロトコルがあまりにも多く存在しているため、ユーザーはイライラをつのらせている」と述べた。
そして同氏は、「『OCF Universal Cloud Interface(UCI)』規格によってIoTクラウド間の通信に関連する作業を簡素化できるとともに、その量を大きく削減できる。OCF UCIを業界標準として実装することで、1度限りのクラウド間接続の必要性を低減し、開発作業の効率を向上させ、コンシューマー向けのスマートホームエクスペリエンスの簡素化に役立てられるようになる」と続けた。
また、サムスン電子でビジュアルディスプレイ事業の研究開発責任者を務めるHyogun Lee氏も「OCF UCIの採用により、IoT市場が分断されているという現在の問題を解決できるため、IoTの統一されたエコシステムを構築できる」と述べ、これに同意している。
OCFのエグゼクティブディレクターであるJohn Park氏は、「IoTデバイスを開発したいと考えているものの、自社独自のクラウドアプリケーションを開発、サポートする能力を有していないデバイスメーカー間における協業は、同一のOCF UCIを使用していれば、その構成を変えるだけで容易に実現できる」と語った。またLee氏は、OCF UCIによって、「クラウドアプリケーションを有しており、接続可能なデバイスの数を増やしたいと考えている企業も支援される」と述べた。
CESにおいて、BSC ComputerやCOMMAX、SURE Universal、ハイアール、LG、Resideo、サムスンの各社は、OCF 2.1互換のさまざまなベータ版デバイスを展示している。
OCF準拠デバイスは、既に市場で先行しているAmazonやGoogleのプロプライエタリーかつバーティカルなIoTデバイスに追いつけるのだろうか?今のところは勝負になっていないように見える。しかし目を離すことはできないだろう。歴史を振り返れば、オープンな規格がクローズな規格に打ち勝った事例は数多くある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。