Fractal Analyticsのアジア太平洋地域担当最高プラクティス責任者Sandeep Dutta氏は、「多くの企業は、クラウドにエンタープライズデータレイクを作ることに力を入れてきた。これは、良質で信頼できるデータセットを整備するのが容易なためだ。2020年にはこの傾向がさらに強まると予想される」と書いている。一方、YellowbrickのBulkowski氏は、データベースとハードウェアの観点からクラウド革命を捉え、「もっとも刺激的で革新的なデータベースは、ハードウェア革命の恩恵を受けることで、別次元の価格とパフォーマンスを実現している。このイノベーションを可能にしたのはクラウドだ(中略)そのためユーザーは、知らず知らずのうちに、データベースに特化したハードウェア上で動作するデータベースを利用することになるだろう」としている。
進むマルチクラウド化、ハイブリッド化
専門家らは、ハイブリッドクラウドとマルチクラウドに対するアプローチも進化すると考えている。実際、この点については意見の相違はない。例えば、YellowbrickのBulkowski氏は、「ベストオブブリード型のアーキテクチャーでは、技術スタック内の構成要素を想定し、それらを単一のクラウドベンダーからだけでなく、さまざまなサービスプロバイダーから選択する。特定のクラウドプロバイダーから選んだ場合の価格が最低あるいは最善であり、クラウド間をネットワーキングする費用は高すぎるという仮定は、当てはまらなくなっていく」という見解を述べている。
Neo4jのCEO Emil Eifrem氏は、「2020年に成功する既存のISV(独立系ソフトウェアベンダー)は、マルチクラウドとオンプレミスの両方の製品に精通しているはずだ。クラウドサービスを提供しているオープンソースのISVは、カスタマイズを必要とする顧客向けのクラウド環境を強化するにはどうすればいいかを理解している。また、Amazon Web Services(AWS)がマルチクラウドになることは考えにくい」と見ている。
Nutanixのクラウドプラットフォーム担当CTOであるRajiv Mirani氏は、「企業は今後もハイブリッドクラウドへの投資を続け、レガシーなものやクラウドネイティブなものを含むすべてのワークロードについて、プライベートクラウドと、複数のパブリッククラウドの間の相互運用性を高めようとする。顧客は、アプリケーションのアーキテクチャー変更やリファクタリングを行わなくても、あらゆる場所であらゆるワークロードを実行できるソフトウェアを提供するベンダーを求め始める」