AIの倫理と公正性に関する見方もまとまりつつある。Fractal AnalyticsのバイスプレジデントであるSuraj Amonkar氏は、「AIコミュニティは、今後もAIのガバナンス、プライバシー、安全性、倫理の問題に関する議論を続け、前進していく」と考えている。同じくFractal Analyticsの最高デザイン責任者であるParameswaran Venkataraman氏は、「2020年には、企業が『AIの倫理』を使ってAIの新しい応用事例をゼロから概念化し、設計するようになる。人間のテクノロジーの使い方(あるいはテクノロジーによる人間の使われ方)に対する人々の意識や期待を考えれば、いずれは倫理的なAIを設計することが当たり前になるだろう」と述べている。また、Eugenie.aiの最高経営責任者(CEO)Soudip R Chowdhury氏は、「プライバシーを考慮したAIエコシステムの構築とAIアルゴリズムの公正性の実現に関する研究の取り組みが大幅に増加する」と考えている。
運用
専門家は、2020年にはAIの開発プロセスの構築(およびAIを運用しやすくするためのツール)が重要になると見ている。AlluxioのLi氏は、「機械学習モデルのトレーニングは転換点を迎えており、規模やステージに関わらず、あらゆる企業が、モデルのトレーニング作業を運用体制として整える方向に向かっている」と説明する。またSASのTodd Wright氏は、「市場ではモデル管理の分野が成長するだろう。(中略)企業は、分析モデルを簡単に登録し、修正し、追跡し、スコアリングし、公開し、管理し、通報できる機能を必要とするようになる」と述べている。
O'Reilly MediaのシニアコンテンツディレクターKelsie Pallanck氏は、「機械学習やAIを利用したアプリケーションが登場したことに加え、DevOpsは今後開発ワークフローで大きな役割を果たすようになる。(中略)しかしAIOpsは、かなりの注目を集めつつあるものの、まだ歴史が浅い。AIOpsがIT運用に与えるメリットはまだ現実のものではなく、理論的なものだ。しかし、今後の展開には注目すべきだろう」と、若干懐疑的ながらも同様の意見を述べている。また、Sisu DataのCEOであるPeter Bailis氏は、「データはもはやデータサイエンティストだけが扱う領域ではない。企業に属する全員が、日常的にデータアナリストのような活動をするようになり、特定の用途に特化したスキルやツールが登場し始めるだろう」と主張している。
2020年は再びクラウドの年に
Information Buildersの製品およびエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントEric Raab氏と、フィールドテクニカルエンジニリアリング担当バイスプレジデントのKabir Choudry氏は、「クラウドの流行」という見出しの節で、「今では、クラウドベースの運用のために作られた実績のあるソリューションがある。2020年には、企業がクラウドネイティブソリューションの利便性、スケーラビリティ、柔軟性を取り入れるために、せきを切ったようにクラウドに移行するだろう」と述べている。またWANdiscoのCEOであるDavid Richards氏は、「2020年には、クラウド以前に生まれた何千社もの企業がその動きに加わり、クラウドが従来よりもはるかに大きな成長を見せるフェーズの先触れとなるだろう。そのプロセスは、データをクラウドに移し、人工知能・機械学習アプリケーションに適した環境の基礎を築くことから始まる」と考えている。