米民主党のアイオワ州党員集会では、集計アプリの不具合が原因で結果の発表が大幅に遅れ、Bernie Sanders氏の支持者は自陣営の勝利が奪われたと怒りの声を上げた。しかし集計結果の詳細が明らかになり始め、Sanders氏の結果が許容できる範囲だったことが分かってくると、騒ぎは収束した。だがむしろ問題なのは、集計アプリが党員集会の投票結果集計を混乱させただけでなく、選挙のプロセスに対する信頼をさらに損なったことだ。
アイオワ州の党員集会で発生した問題に対する事後分析の多くは、このアプリを開発した企業であるShadowと、その親会社であるAcronymに注目している。根源的な問題は、不具合を起こしたアプリ「IowaReporterApp」の開発会社ではなく、そのアプリの開発プロセスに根本的な欠陥があったことだ。
何が起こったのか
このアプリはテストが不十分で、多くのスマートフォンでは正常にインストールできておらず、想定通りの動作を見せないことも多かったとの報道もある。つまり、失敗するべくして失敗したということだ。党員集会が開催される前でさえ、多くの専門家がこのアプリのセキュリティについて懸念を表明していた。
問題が起きたのはこれが初めてではない。2016年のアイオワ州では、民主党と共和党の両方が、Microsoftのスマートフォンアプリを使って集計結果を党本部に通知する仕組みを導入した。しかし、その通知システムは一部でクラッシュしたと報じられた。
今回、Shadowはアイオワ州民主党から6万3000ドル(約700万円)、ネバダ州民主党から5万8000ドル(約630万円)の資金を得てIowaReporterAppを開発したとされている。これは一見、かなり大きな金額のように見えるが、ミッションクリティカルなモバイルアプリケーションの開発費としてはかなり小さい。
IowaReporterAppの機能は、各候補者の支持者数をカウントし、アプリを介して報告するというだけのシンプルなものだった。しかし現場では、アプリは規模の拡大に対応できず、電話対応窓口は人員不足で、接続は不安定だった。一言で言えば、開発時の失敗が、導入環境と運用の不備によって拡大されたということだ。
Shadowは次のように述べ、批判を暗に認めている。
「昨夜、アイオワ州党員集会の集計結果報告で生じた遅延と、この事態が候補者の方々や選挙活動、民主党の党員集会参加者に先行きが不透明な状況を引き起こしたことについて心から遺憾に思う。アイオワ州民主党が認めたように、Shadowのモバイル党員集会アプリを使用したデータおよびデータ収集プロセスは正常で正確なものでしたが、アプリによって作成された集計結果をアイオワ州民主党本部に送信するわが社のプロセスに問題があった」