グループウェアベンダーのサイボウズ(中央区)が2月13日に発表した2019年度12月期決算短信は売上高が前期比18.7%増の134億円、営業利益が前期比57.0%増の17億円。2018年に続き売上高過去最高を更新したという。サイボウズで代表取締役社長を務める青野慶久氏は「ようやくグループウェアの普及期が始まった」と表現。今後の展開への手応えを見せる。
青野慶久氏
商材ごとでは、業務アプリ構築PaaS「kintone」が前年度比で導入社数3割、売り上げが4割増加。中小企業向けグループウェア「Office」は4年連続過去最高売り上げを記録したという。大企業向けのグループウェア「Garoon」、メール共有サービス「Mailwise」を合わせ、提供する4つの商材はいずれも好調と説明する。
提供形態ごとでは、クラウドサービスの構成比率が71%に到達し、4商材のクラウド売り上げは前年度比128%増だったという。昨年予測したGaroonのパッケージとクラウドの比率逆転こそ、「減ると思ったパッケージが伸びたため起きなかった」(青野氏)ため実現しなかったものの、企業規模を問わずに顕著に伸びていると語る。
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クラウド化は新規ユーザーの獲得にも寄与しているという。バージョンアップやサーバー、バックアップなど、使うための管理にリソースを割く必要性があるパッケージと比較し、ユーザーが“使う”ことだけに集中できる点が大きなメリットになっていると分析。「(グループウェアを)クラウドサービスにした時には、ここまで市場拡大できると思っていなかった」(青野氏)。創業してから約15年展開した“あの手この手”の普及活動に勝るとも劣らないインパクトを語る。
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また、サイボウズのクラウドサービスの特徴と挙げた点が、パートナー企業とのエコシステムだ。クラウドサービス全体の売り上げのうち、半分以上がパートナー経由になるという。
Garoonでは、2019年9月にリリースした最新版「5」でAPIや連携製品を拡充。kintoneは450社のパートナーが存在、300社のサービスと連携できるという。「拡張できないというイメージがあるグループウェアだが、APIとエコシステムの拡大で(他製品とつながり)ユーザーの業務を拡大できる。業務をつなげることで、全体最適で改善できるグループウェアへと成長しつつある」(青野氏)。2020年も引き続き連携性、拡張性を強化する方針を打ち出している。
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