松岡功の一言もの申す

新型コロナウイルス対策にデジタルを活用せよ

松岡功

2020-03-18 10:15

 新型コロナウイルスの感染拡大による混乱は、いつ潮目が変わって沈静化に向かうのか――。誰もがそう不安を募らせているこの問題に、デジタルをもっと活用できないだろうか。今回はこの点で一言もの申したい。

「経済の混乱」「医療の崩壊」「治療薬の開発」にデジタルを生かせ

 2008年のリーマンショックに匹敵するか、それ以上かもしれない――。こう各方面から聞こえ始めた新型コロナウイルスの感染拡大による混乱。主要7カ国(G7)首脳が3月16日深夜にテレビ会議システムによって行った緊急協議でも、「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)は人類の悲劇かつ国際的な衛生上の危機であり、世界経済にも大きなリスクをもたらす」と強い危機感を表明した。

 本サイトの新型コロナウイルスに関する記事でも、テレワークやオンライン学習の活用、BCP(事業継続計画)の実践など、感染拡大に対処するさまざまな取り組みが連日紹介されているが、本稿ではこの問題が引き起こす「経済の混乱」「医療の崩壊」「治療薬の開発」といった根本的かつ重大なリスクへの対策に、“デジタル”をもっと活用できないかということを訴えたい。

 デジタルとはAI(人工知能)やIoT、アナリティクス、クラウド、モバイルなどの最新技術を指すが、ここでは企業のデータ管理を指す場合が多いITも含めたい。その上で“デジタル”と表現するのは、IT関連の企業や組織だけでなく、デジタルを活用する全ての企業や組織に、この問題に立ち向かってもらいたいという思いからだ。

 まず、経済の混乱。新型コロナウイルスの経済への影響は、パンデミックによって各国で国境封鎖や集会・外出の禁止、レストランなどの閉鎖といった措置が相次ぎ、経済活動も抑制せざるを得ない状況に至っている。

 記憶に新しいところで、私たちは先述したリーマンショックや2011年の東日本大震災と原発事故といった大きな打撃を乗り越えてきたが、今回はヒトやモノの動きが次々と止まっている点で異質だ。

 そうした経済の混乱にデジタルをどう生かせるか。基本的な考え方は、安全・安心の確認につながるような情報を見える化や共有できるようにすることだ。それによって、ヒトやモノの動きを回復させたいところである。

 厚生労働省が3月15日、感染者のクラスター(連なる集団)の全国分布図をホームページで公表した。「全国クラスターマップ」と名付けられた図は、おそらく注意するところを可視化することで不安感を軽減しようと考えたのだろうが、見方によってはクラスターをさらしものにしただけとも受け取れる。可視化だけでなく安全・安心につながる情報をどう作り、可視化して活用できるようにしていくか。知恵を絞りたいところだ。

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