日立製作所は、企業の研究開発部門向けに、論文や実験、観測、調査などの研究開発データを効率的に管理、利用するための「研究開発データ管理ソリューション」を開発した。3月25日に提供を開始した。
このソリューションは、組織や研究者が有する研究開発データをシームレスに管理するシステム基盤になる。クラウド型でもオンプレミス型でも構築、利用できる。
同社では、国立情報学研究所オープンサイエンス基盤研究センター(RCOS)が開発・提供する研究開発データの管理・公開基盤「GakuNin RDM」および「WEKO3」と、同社の「Lumada」ソリューションと連携する独自機能を加えて、このソリューションを開発した。今回の提供に先立って産業技術総合研究所に、このソリューションの中核となるオープンソースソフトウェア「Open Science Framework」を用いた各種研究データを効率的に管理したりシミュレータツールの情報を集約したりする「材料設計シミュレータ統一GUI」システムを納入しているという。
ソリューションイメージ
特徴としては、論文や研究データの公開に必要なDOI(Digital Object Identifier)の採番機能などがあり、利用者が各組織の保有するデータを素早く検索したり、アクセスしたりできる。企業や部門ごとにデータの管理や利用なども柔軟できるほか、ほかのシステムで実行されたシミュレーション結果などのデータを一元的に確認、管理するといったカスタマイズも短期間でできるとする。これにより、データを限定した利用者の間で活用したり、オープンに公開して活用したりできるようになる。
また、Lumadaソリューションとの連携例では、このソリューションの画面からLumadaの「材料開発ソリューション」の機能を呼び出して、材料の高機能化につながる要因予測のための効率的な研究開発データ解析を実施できるなどの利用が実現する。
同社によれば、従来は組織や研究者ごとにデータを保有、管理しており、共同研究などで活用するにも専門のデータ共有システムを構築したり、可搬記憶媒体でやりとりしたりするほか、データの保管場所も必要でスピーディーに共同研究ができないといった非効率な問題が多かった。