企業が抱えるよくある課題を「kintone」でどう解決するのかを紹介する本連載、第2回は、業務をシステムに合わせるのが苦痛だという現場の声を解消したケースを取り上げる。
業務に合わせたシステムを短期間・低コストで導入できる
業務をシステムに合わせるのか、システムを業務に合わせるのか、は悩ましい問題だ。従来、日本の大企業はシステムを業務に合わせてきた。自社が望む要件を盛り込むことができる反面、システム開発の費用は莫大な金額になり、開発も長期間に及んだ。また、ヘビーなシステムは、リプレースはもちろん、改修も簡単には行えない。何かする度に、システム開発会社から高額の請求書が届くことになる。
中小企業の場合は、予算の面でそもそもスクラッチ開発ができない。そこで、パッケージソフトや専門のクラウドサービスを使うことになるのだが、“帯に短したすきに長し”となることが多い。多くの会社は長く経営している間に独自進化を遂げ、その会社ごとに最適化されたワークフローになっていることが多いためだ。
とは言え、古いシステムを使い続ける訳にもいかないので、どこかのタイミングで新しいソフトやサービスを導入するしかない。システム担当者はもともとデジタルに詳しいし、製品を選定する際に吟味するので、新システムも問題なく利用できるだろう。しかし、問題は現場の人たちだ。
現場の人たちには、新しいシステムを使いたいという欲求はない。経営が少し効率化されるとしても、身体になじんだ現行のワークフローを続けたいという心理の方が強いからだ。そこが解消されていないのに、大幅に仕事のやり方が変わるシステムを導入すると、トラブルの元になる。まして、一定のメリットはあるが、デメリットもあるとなれば、デメリットの部分ばかりが際立って、社内活用が進まない。そこに、上から強制的に使うように命令してしまうと、空気が悪くなり、作業効率の低下や離職に繋がってしまう可能性もある。
折衷案として、パッケージで足りないところや使いにくいところを全部「Excel」でなんとかしてしまうケースもある。Excelに詳しい担当者が、マクロを駆使して業務にあったファイルを作ってしまうのだ。この弊害は本連載第1回の「『Excel』ファイルが乱立--データを管理しきれなくなったらどうする?」で紹介した通り。
この企業課題を解決できるのがkintoneだ。業務に合わせたシステムを安価に導入でき、Excelも不要になる。なぜそんなことが可能なのかというと、システムを自分たちで作るからだ。
自分でシステムを作るといっても、プログラムを勉強するという話ではない。kintoneはプログラムを書かずに、業務で利用できるアプリを構築できるのが特徴だ。具体的に言うと、ブラウザー上でkintoneを開き、必要な機能をマウスでドラッグ&ドロップしてアプリを作る。そのアプリはクラウドで公開され、従業員全員がパソコンでもスマホでも利用できる。グループウェアの機能も備えているので、社内のコミュニケーションにも役立つ。
kintoneではドラッグ&ドロップでアプリを作れる
キャプチャ:筆者
それでいて、安い。価格は月額780円のライトコースと月額1500円のスタンダードコースから選べる。ミニマム5ユーザーからの契約だが、初期費用などはない。コストの面は問題ないだろう。