チームの情報セキュリティをどう向上させるか
前回は在宅勤務におけるセキュリティについて説明しましたが、組織に対してどのように適用するかにはさまざまな苦労があります。ここでは、Dropbox Business活用ユーザーの事例を紹介します。
飛島建設(港区、従業員数1213人)では、震災をきっかけに事業継続計画(BCP)の一環として2013年から全従業員のPCをノートPCに切り替えたり、タブレットやモバイルデータ端末を配布したりして、設備、備品面での整備を進めています。
同時に情報セキュリティ規定を改定し、Dropbox Businessや「Microsoft Teams」を導入するなど、多様な働き方実現に向けてITインフラを構築してきました。
工夫しているのはITインフラだけではありません。2015年には労使合同でダイバーシティ推進委員会を発足しました。また、働き方改革への取り組みを人事評価項目に追加し、2018年度には在宅、フレックス勤務制度を正式に導入しました。人事制度とITインフラの両輪を整備したことにより、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発令時においてもスムーズに在宅勤務へ移行できたとのことです。
このように、ITインフラのような“道具”を導入しておしまいではなく、実業務へ適用、働き方として根付くよう全社的に取り組んでいます。情報統制はITインフラの機能だけで解決できる問題ではありません。ITインフラが担う部分は情報統制をアシストする機能群と業務効率の向上です。使いづらければ業務効率を優先し、統制の取れていない手段で業務を実施してしまうかもしれません。
一方、ユーザーが正しく使えることを保証するのは人事や教育の制度です。チームメンバーがオフィスだけでなく、在宅環境などさまざまな状況で安全に操作ができるような教育、ガイドラインの整備、人事評価制度への取り込みなど、チーム全体が本気で取り組めるような環境づくりが必要と言えるでしょう。
次回は、今回紹介したDropbox Paperを含むコミュニケーション手段や前回紹介したセキュリティ設定など具体的な使い方事例を紹介します。
(第5回は5月下旬にて掲載予定)

- 岡崎 隆之
- Dropbox Japan テクニカルアーキテクト
- サン・マイクロシステムズ、ACCESS、グリーを経てエンタープライズ分野からコンシューマー分野に渡る様々な分野でのエンジニアリングに従事。開発生産性や、チーム間の共同作業について様々な施策を実施し生産性向上に貢献。2015年からDropboxカスタマーサクセスチームに所属し、お客様の生産性向上に貢献している。