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ラスボスは「紙とハンコ」--BCP実現のテレワークで考えるべき勘所 - (page 3)

中沢仁 (ゾーホージャパン)

2020-05-19 06:30

統合クラウドアプリケーションが最適である理由

 次に、BCPを意識した中長期的な視点でテレワーク環境を実現するためのプラットフォームについて考えてみます。現時点では統合クラウドアプリケーションの導入が成功への近道です。ブラウザさえあれば動作する製品も多く、端末をスタッフに配布する際にも仕事内容やコストに応じた最適な機器が選択できます。

 また、端末上にデータやファイルを残さないので、万が一の紛失や盗難の際にも情報漏洩のリスクを軽減できます。端末がサーバー攻撃の標的にされて不正にアクセスされたとしても、多要素認証など強固なログイン方法を備えた製品であればクラウドアプリケーションにまで侵入される可能性は低いでしょう。敷設にコストや時間がかかるVPNなども不要です。

 さらに、テレワークに必要な機能を網羅した統合製品であれば、多数のツールやアプリケーションを乱立させてしまうこともなく、一つのアカウントで全ての機能が利用可能です。

 ファイル共有機能によって、チャットやウェブ会議、プロジェクト管理などの機能とスムーズにデータ連携できるため、重要な情報資産が分散することもありません。操作性も統一されるため利用者にとっての負担も少なく、使いづらいことが原因で結局は「会社に行った方が早いかも」となってしまうテレワークの悪い見本のような結果を招かなくて済みます。

「ラスボス」は紙とハンコ

 テレワークを阻む最後の敵は、紙とハンコの文化かもしれません。日本では、見積書、請求書、納品書などの帳票や契約書などの書類に対し、紙への印刷と押印を求める根強い商慣習があります。  すでに電子署名や電子印鑑が実用化されているため、印鑑証明と実印が必要となる公的な書類や契約書以外は、技術的にはクリアできているのですが、ほとんどの書類は取引先などの社外に対して発行されるものであり、自社の都合だけでは簡単に電子化できないところに問題があります。

 ハンコの目的は、押印する当事者の意思と存在を相互確認したという信頼関係を証明することです。テレワークへの移行を機に、日常的な書類のやりとりを取引先との間で改めて見直すことも必要ではないでしょうか。日本中のあらゆるところに存在する紙とハンコという「ラスボス」はなかなかの強敵かもしれません。

 しかし、今回の緊急事態をきっかけにして、民間企業にも動きが出てきており、政府においても脱ハンコの議論が始まりました。われわれが一斉に立ち上がれば、決して倒せない敵ではないはずです。

企業の変革を促すテレワーク

 テレワークの環境整備は、もはや待ったなしという状況です。一時的な緊急対応にとどまらず、事業の継続と多様性を持った働き方を実現する本格的なテレワーク環境を整える好機と捉え、この事態の収束後に起こるであろう大きな変化に対応できる柔軟な企業に変わることが今、求められています。

中沢仁
ゾーホージャパン Zoho事業部 事業部長
国内独立系ソフトウェアベンダー(ISV)で中堅中小企業と大企業を対象に10年間従事。2010年、ゾーホージャパン入社。Zoho.comサービスの日本国内での啓蒙と販売に従事

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