製品やサービスの調査と比較の結果、テレワークに必要となる機能が単一のプラットフォームに統合されたクラウドアプリケーション製品を3つまで絞り込みました。社内システムとの連携や親和性、アクセス権限の設定などについても詳細に検証する予定です。
1年、3年、5年後のランニングコストの試算と導入までに要する期間も比較し、クラウドアプリケーションの選定が終了次第、業務内容や職種に応じた端末の選定に着手する計画です。
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この想定シナリオのケースでは、本格的なテレワーク環境の計画を始める際に、ビジネスの健全な継続のために必要な業務を抽出し、何をどの程度までテレワークに移行するかを精査しています。
通常の職場での仕事は、見積書や請求書の発行、提案書や企画書の作成、営業・顧客管理システムへの入力、稟議、決済、承認作業、人事評価など広範囲にわたります。最終的にこうした仕事をテレワークに対応させるためにも、まずは全社的に業務を棚卸しして、テレワークで可能な業務を抽出して精査することが重要です。
バックオフィスこそテレワーク移行
これまで場所や時間にとらわれない柔軟な働き方といえば、営業などフロントオフィスのスタッフを対象にフリーアドレスやサテライトオフィスを導入し、出社や帰社の時間を節約して効率化を図るというイメージが強かったのではないでしょうか。一方で、経理や人事、総務といったバックオフィスは、固定のオフィスとデスクでの仕事という固定観念があり、テレワークへの対応を後回しにされてきました。
しかし、筆者たちが実際にテレワークを実践してきた経験から、デスクワークが中心のバックオフィスをテレワークに移行しても業務の効率が落ちないという実感があります。そもそもバックオフィスの業務は、会計ソフトや業務システムなどでデジタル化された社内データの処理が中心となるため、データやファイルにさえアクセスできれば仕事のほとんどをPC上で完結できます。
また、業務の分担やプロセスが明確に定義されていることも多く、テレワークに移行しても作業効率を下げることなく仕事ができます。通勤や職場での雑務に時間が割かれることもなく、かえって仕事に集中できて生産性が上がったケースもあるほどです。会社の土台ともいうべきバックオフィス業務の質を落とさずにテレワーク環境に移行できるかどうか。これが、BCP成功の鍵を握るといっても過言ではありません。