5月25日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による緊急事態宣言が全国で解除されましたが、影響はまだまだ大きく、リモートワークや交代制での勤務を当面継続するという組織も少なくありません。
今回、多くの組織が準備時間のないまま運用の切り替えを余儀なくされたこと、また事態の長期化によってさまざまな課題が浮かび上がっています。一方前向きに捉えると、全世界的に働き方の変革を余儀なくされ、チームメンバーだけでなく取引先や業界団体でも実践し、問題を解決していこうという強い動機付けとなりました。
このまま新型コロナウイルスの脅威収束が望まれますが、「Dropbox Business」ユーザーでも組織としての事業継続計画(BCP)などの観点から、第2波、第3波のための準備を開始されています。今回は目の前に迫っている短期的な課題を中心に紹介し、最終回となる次回は中長期的課題について紹介します。
運用の課題と対応
運用の課題はITインフラ、組織や業務フロー、人事制度や労務管理、モチベーションや精神面など多岐に渡ります。時間や予算の制約からそれら全ての同時解決は簡単ではありません。必然的に何らかの仮説をもとに、優先順位をつけて対応していくことになります。
短期的な課題として、よく耳にするのは次のような課題です。
VPNや社内サーバーの負荷急増は多くのIT部門にとって悩みの種です。業務で利用するファイル、データも年々大容量化しており、出張者などの一時的な利用を前提とした容量で設計したインフラは突然のトラフィック増加に耐えきれませんでした。また、パブリッククラウドを利用しているケースでも、扱えるファイル数や1ファイルあたりの容量に上限があり、社内サーバーから運用を移行できないという落とし穴に陥る組織も少なくありません。
帯域容量やストレージ容量の制限
回線装置、サーバーの増強、または大容量に耐えうるクラウドサービスへの移行などの対策が考えられますが、予算、納期、セキュリティポリシーとの整合性検証など短期的な対処は難しく、中長期的な対策と位置付けざるをえません。短期的には業務に必要最低限のファイル、データに限定するなど運用上の工夫で乗り切ることとなります。全ての業務で適用できる手法ではありませんが、ファイルやデータの整理整頓を進めることで、ある程度回線やストレージ容量への負担を軽減できます。Dropboxのサービス利用動向からも、古いファイルほどほとんどアクセスされず、最近作成されたファイルほど頻繁に参照されたり更新されたりすることがわかっています。
プロジェクト全体、組織全体のファイルの整理整頓も中長期的な対策とならざるをえません。直近1〜2週間で必要な業務の分のみとするなど、ある程度短い期間、範囲に限定し、最低限の作業ファイル一式としてまとめると良いでしょう。これを週1回または2週間に1回などの定期的な習慣として継続することによって、再び在宅勤務への切り替えが発生した場合でも混乱を最小限に抑えることができます。
ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)
関連ホワイトペーパー
- 包括的な“統合”アプローチで俊敏性を実現するソリューションが選ばれる5つの理由が明らかに!
- クラウドリフトの現実解-BIPROGYが解説するAzure VMware Solutionの勘所
- 悩ましいクラウドサービス選定を支援するCFiとは何か?そのサービス構成や特徴をわかりやすく解説!
- 自社システムにおける結果を徹底分析!BIPROGYにおけるクラウドシフトの実態と効果
- 小規模インフラ環境のクラウド化に最適なVMware製品ベースのIaaS、4つのポイントとは
- 【講演資料】AVSの活用方法をおさらい!ホストマイグレーションをすべきはどこか?
- 人気カテゴリ
- 経営
- セキュリティ
- クラウドコンピューティング
- 仮想化
- ビジネスアプリケーション
- モバイル
特集
- 持続可能な地域社会を目指す「地域DX」
- macOSを使いこなす
- トップインタビュー
- PDF Report at ZDNET Japan
- リテールテック最前線
- ラズパイをより身近に
- 松岡功の「今週の明言」
- AIが企業にもたらす変化
- これからの日本企業のためのコンポーザブルERP活用法
- ビジネス視点で分かるサイバーのリスクとセキュリティ
- 松岡功の一言もの申す
- Linuxノウハウ
- デジタル岡目八目
- 「LibreOffice」を快適に
- 組織のデジタル競争力向上にオブザーバビリティが果たす役割
- 「働く」を変える、HRテックの今
- Ziddyちゃんの「私を社食に連れてって」
- 古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
- 生成AI時代到来、ビジネスで効果的に活用していくには
- Chromebookをより便利に
- CX視点で見るエンタープライズITの未来
- 中国ビジネス四方山話
- 企業セキュリティの歩き方
- GIGAスクール構想、端末配布の「その先」
- CIOの「人起点」DXマニフェスト
- デジタルジャーニーの歩き方
- 不確実性の時代に、アジャイル開発で向き合っていこう
- CPMで実現するデジタル経営変革
- 生成AIの台頭
- カーボンニュートラル(脱炭素)