Mirantisは米国時間8月13日、「Kubernetes」向けのオープンソース統合開発環境(IDE)である「Lens」プロジェクトを買収したと発表した。Kubernetesは多くの企業によって採用されているコンテナーオーケストレーションプログラムだが、複雑で「簡単」に使えるわけではないとの見方もある。これが、MirantisによるLensプロジェクト獲得の理由の1つだ。なおMirantisは2月に、Lensを生み出した新興企業Kontenaのチームを買収している。
これまでに、LensはKubernetes向けのIDEの中で最も幅広く利用されていると言ってもよい存在となっている。2020年3月にオープンソースプロジェクトとして公開されて以来、Lensのコミュニティーは、既に3万5000人のユーザーを擁するまでになっており、GitHubのスター数を7000も獲得している。
GitHubでMITライセンスにて公開されているLensは既に、AdobeやApple、Zendeskなどの世界の大手企業によっても利用されている。
Mirantisは、「Lensは、Kubernetesの複雑さを取り除く製品だ。Kubernetesの複雑さはその着想時から、メインストリームの開発者による採用を妨げている。Lensは状況の認識を可能にし、ユーザーが複数のクラスターをまたがって、リアルタイムでワークロードの管理、開発、デバッグ、監視、トラブルシューティングを容易に実行できるようにする」と説明ている。
また、Lensはベンダーやディストリビューションを意識させない作りになっており、あらゆるインフラ上で稼働する、認定Kubernetesディストリビューションすべてをサポートしている。Lensプログラム自体はスタンドアロン型のデスクトップアプリケーションだ。「macOS」やLinux、「Windows」で動作し、無料でダウンロード、インストールして利用できる。
その特長は以下の通りだ。
- コンテキストの状況を即座に把握できる。
- コンテキストアウェアなターミナルが利用できる。
- どのクラウドでもマルチクラスター管理が可能である。
- 複数のワークスペースが利用できる。
- 「Prometheus」の統計機能などが内蔵されている。
supervisor.comの最高技術責任者(CTO)Matti Paksula氏は、「LensはKubernetes開発のワークフローを加速、簡素化することでわれわれの開発者の生産性を向上させてくれた。私見では、最も強力な機能は、ターミナル上で『kubectl get pod』を実行する際、常にダッシュボード上に適切なコンテキストが表示されるというものだ。さらに、すべての情報がリアルタイムで反映されるため、タイミング遅れの情報に基づいているという心配をせずに済むという利点もある」と述べた。
Mirantisの最高経営責任者(CEO)Adrian Ionel氏は声明で、「Microsoftの『Microsoft Visual Studio』がソフトウェア開発者のためのブレークスルーであったように、LensはKubernetesの開発者、運用担当者のための画期的な製品だ。Lensにより、どのパブリッククラウドやプライベートクラウドでもKubernetesアプリの開発やテスト、実行が容易かつ簡単に行えるようになる」と述べ、「Lensは、Kubernetesに興味を抱いている人々が、Kubernetesによって生産性の高い開発を実行できる人々になる上で越えなければならない大きなギャップを埋める製品だ」としている。
Mirantisは、Lensの今後の開発に大きく投資していく計画だ。同時に同社は、Lensコミュニティーと緊密な連携を続けていくしている。なおLensの「Slack」チャンネルでは、Lensの他のユーザーと交流を図ることができる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。