DTEN MEは、DTENシリーズが備えるエコーキャンセルや背景ノイズの除去、発言者の音声を一定化するオーディオAI、オートフォーカスといった機能を備えた27インチのZoom専用デバイスだ。ディスプレイ上部に3つのカメラ、8つのマイクロフォンアレイを備えることで、小規模会議室での利用を可能にする160度の画角を確保している。
ホワイトボード機能はオンライン会議ホスト時の設定により、参加者がリアルタイムで操作できる。ホワイトボードや共有資料に書き込んだデータはJPEGやPNG形式の画像ファイルとしてメール共有できる。
設置も極力シンプル化し、デバイス背面の接続ポートは電源のほかHDMIとEthernetのみ。HDMIをPCに接続すればDTEN MEをセカンドディスプレイとして使用できる。企業がDTEN MEを従業員に貸与する場合、IT部門によるリモート管理も可能だ。
DTEN ME最大の特徴はアカウントを制限していない点にある。前述のとおりZoom Roomsは専用ライセンスが必要だが、Zoom for Homeは無償のベーシックアカウントでも利用可能だ。
現時点のユーザーインターフェースは英語のため、例えば「第1会議室」などのデバイス名を付与できない。黒瀧氏は「日本語が通るローカライズが必要。出荷後のアップデートで対応する予定」と説明する。
ZVC Japan カントリーゼネラルマネージャー 佐賀文宣氏
4年間かかる成長を1年半で実現
コロナ禍でオンライン会議の需要が高まったことは改めて述べるまでもない。
2019年7月に日本にオフィスを構えたZoom Japanは従業員数も当初の約20人から50人超に増加し、年内には80人まで増強する予定である。新規契約金額は昨年の約2倍、売上金額も昨年の約3倍、ビジネスライセンス以上の顧客者数は2500社から1万5000社まで拡大した。
2020年3月にはSB C&Sとディストリビューター契約を発表しているが、その時点の顧客数は3500社超。「当初は4年かかると思っていたものが、1年半(で実現したの)は予想外」(佐賀氏)
3月時点で発表していたデータセンター(DC)の増強についても、8月に新たに大阪に開設した。佐賀氏は「急激に増えている国内のお客さまに安定した環境を提供するため。もう1つは年内の国内提供を目指している(クラウドPBXサービスの)Zoom Phoneのため」だと説明した。
東京DCがダウンしたり、トラブルが発生したりした際は大阪DCへ負荷分散し、別途契約しているパブリッククラウドも一時的なリソースして活用している。Zoom Phoneは音声品質が重要になるため、大阪DCの存在が重要になるという。
セキュリティ面も強化を重ねている。
100を超える機能を強化するとともに、エンドトゥエンドの暗号化技術を持つKeybaseを2020年5月に買収し、AES-256-GCMによる暗号化を実現。ホワイトハッカーの攻撃でリスクを洗い出すペネトレーションテスト、未発見のバグに報奨金を支払うバグバウンティプログラムの強化に加えて、プライバシーポリシーや政府機関からの要請に対する対応ポリシーを明確化している。
Zoomは当初から49人分割表示や仮想背景などの機能を搭載している。ここに来て、他社のオンライン会議サービスも同様の機能を搭載するようになっている。
佐賀氏は「(49人分割表示や仮想背景などの機能について)MicrosoftやCisco Systemsの友人に話しても『そんな機能は必要か』と言われた。だが、お客さまは相手の表情を見ながらコミュニケーションすることを求めていた。便利な機能を(各メーカーが)競争して提供するのはお客さまにとって良いこと。負けられない」と語った。