IBM Think

IBMが考える未来予想図--研究者が語るテクノロジーの過去・現在・未来

大河原克行

2020-09-07 06:30

 日本IBMは9月3~4日、ユーザー向けオンラインイベント「Think Summit Japan」を開催した。2日目最後のセッションとして行われた執行役員 最高技術責任者兼研究開発担当の森本典繁氏が「IBMが考える未来予想図」と題して講演し、IBMがテクノロジーの価値を広く多くの人々に届けることで創造する近未来について顧客との共創事例などを含めて紹介した。

日本IBM 執行役員 最高技術責任者兼研究開発担当の森本典繁氏
日本IBM 執行役員 最高技術責任者兼研究開発担当の森本典繁氏

 森本氏は冒頭で、1890年にIBMが米国初の計算機による国勢調査集計システムを開発したことを皮切りに、1964年の「システム360」をはじめ数々のコンピューターを開発してきた経緯や、磁気ディスク記憶装置、世界初の高水準言語であるFORTLAN、DRAMやフロッピーディスクなどを開発してきたこと、そして、昨今では量子コンピューターやAI(人工知能)の開発でもリードしていることを約1分間のビデオで紹介した。

国勢調査集計システム
国勢調査集計システム

 同氏は、「先人たちが創造した未来社会は多くの人の情熱とテクノロジーによって実現されている。今享受されている便利さもテクノロジーによってもたらされている」とした。「ITを支える基本技術の多くはIBMによって生み出されている。半導体や記憶装置、コンピューター、プログラミング言語などを開発し、創業以来多くのイノベーションを起こし、新たな可能性を築いてきた。米国での特許取得数は27年連続1位で、ノーベル賞も6人、チューリング賞受賞者も多く輩出し、全米発明殿堂入りした社員もいる」と、同社のテクノロジーへの取り組みに触れ、「テクノロジーは継続的な探求と研究から生み出され発明で形として残され技術や製品となり社会に還元されている」と述べた。

 日本におけるIBMのテクノロジー開発や活用のトピックスを紹介した森本氏は、「1964年の東京五輪では五輪史上初の競技結果や各国のメダル獲得数をリアルタイムに集計し即時報道された。数カ月を要した公式報告書も閉会式の日に完成させ世界を驚かせた。リアルタイムオンライン競技速報システムを構築したのは日本IBMの技術者たちで、1965年に当時の三井銀行に日本初のオンライン勘定システムとして導入され、世界中で銀行のオンライン化を進める契機になった」した。

リアルタイムオンライン競技速報システム
リアルタイムオンライン競技速報システム

 また、1981年にはIBM PCを発表し、現在のPCの原型となる基本アーキテクチャーを作った。大和研究所が基幹開発拠点としてPC開発を本格化させ、1992年に発売されたThinkPadは日本発の製品だ。創立100周年を迎えた2011年には、IBMのAIである「Watson」が、クイズの世界王者に勝利したが、ここでは東京基礎研究所の研究者らが、自然言語処理などの分野で参加した。

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