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富士通研究所、顔写真などによる「なりすまし」を防止する技術を開発

NO BUDGET

2020-09-24 06:00

 富士通研究所は、他人になりすます不正行為を一般的なカメラで検知できる顔偽造物判定技術を開発した。

 同社では一般的なオフィス環境やオフィス外でのテレワークを想定した環境などで収集した独自の評価データセットにおいて評価を行った。これによると、専用のカメラや利用者による所定の動きがなくても従来と同程度の精度で他人へのなりすましを検知できると確認したという。富士通は、同技術により安価で利便性を損なうことなく不正アクセスを防ぎ、テレワークなど社外からアクセスする際のセキュリティ向上や、本人認証技術の高度化によるDX(デジタルトランスフォーメーション)への貢献が期待できるとしている。

IDカードなどを使った顔認証システムに対する他人へのなりすましの例(出典:富士通研究所)
IDカードなどを使った顔認証システムに対する他人へのなりすましの例(出典:富士通研究所)

 顔画像を用いた認証方式では、印刷した写真やインターネットに公開されている画像などをカメラに提示して他人になりすますケースがある。従来技術では、偽造物特有の特徴を捉えるために近赤外線カメラなどの専用デバイスや、偽造物では再現が困難な顔の向きを左右に振るなどの動きを利用者に要求する対策が取られているが、専用デバイスの追加によるコスト増加や、利用者に追加の操作を強いるために認証に時間がかかるという問題があった。

 今回開発した技術は、偽造物特有の写り方の違いに基づく偽造特徴抽出技術、取得環境による写り方の変動に対応した偽造物判定技術で構成されている。

偽造特徴抽出技術(富士通研究所)
偽造特徴抽出技術(富士通研究所)

 偽造特徴抽出技術は、偽造物特有の特徴と本物の顔の差異を判定可能な数値として表現する。カメラで取得した顔画像を、反射成分や形状(歪み)成分といった偽造物特有の特徴が現れるさまざまな成分に分離し、次に分離した成分ごとに画像処理技術を用いて偽造物特有の特徴を数値化する。各成分の特徴を合成した判定用特徴を生成することで、利用者の操作に基づく情報がなくても偽造物判定が可能になる。

偽造物判定技術(出典:富士通研究所)
偽造物判定技術(出典:富士通研究所)

 偽造物判定技術では、オフィスで撮影した顔画像や窓際で撮影した顔画像といったように、類似した変動を持つ顔画像のカテゴリーで学習することにより、変動の影響を小さくした判定モデルを生成することで、偽造物を正しく判定可能にする。

 従来は、顔画像の取得環境により生じる写り方の変動に対応するために、機械学習を用いてさまざまな変動を含む顔画像を学習して1つの判定モデルを生成していた。しかし、スマートフォンの画面やIDカードのような偽造物の種類によって、写り方の変動の幅が大きくなるために本物の顔と偽造物との判定境界が複雑になり、最新の深層学習に基づく手法でも偽造物判定は困難となっていた。

 同技術は学習フェーズと判定フェーズに分かれており、学習フェーズでは、あらかじめさまざまな環境で取得した顔画像を光の強さや光源の方向などの取得環境に基づき、窓際、逆光、通常といったカテゴリーに分類する。次に、カテゴリーごとに偽造特徴抽出技術で生成した判定用特徴を用いて、機械学習によって本物の顔か偽造物かを判定する判定モデルを構築する。

 判定フェーズでは、入力画像と各カテゴリーの類似度を動的に算出し、続いて入力画像と環境が近いカテゴリーの判定モデルの結果が重視されるように、各判定モデルが出力する本物らしさを表すスコアに各カテゴリーとの類似度に基づく重みを掛けた値を用いて偽造物か否かを判定する。

 富士通研究所では今後、2020年度中の実用化に向けて、偽造検知技術のさらなる精度向上を目指すという。

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