Microsoftが大規模な技術カンファレンスを開催する際には、大抵の場合「Power BI」の新機能に関する発表やリリースが行われる。米国時間9月22日からオンラインで開催された2020年の「Ignite」も例外ではない。実際、発表されたPower BIの新機能は、膨大な数に上った。
筆者は開幕前にもMicrosoftのコーポレートバイスプレジデントArun Ulag氏から、一連の新機能に関するブリーフィングを受けることができた。この記事では、Igniteで発表されたPower BI関連の主要なニュースについて詳しく説明する。また、他の新機能についてもなるべく項目を列挙するようにしたい。
ユーザー単位のPremiumサブスクリプション
今回Power BIに関して発表された最大のニュースは、料金体系に関するものかもしれない。Microsoftは、近日中に「Power BI Premium」をユーザー単位のライセンスモデルで利用できるようにすると発表した。価格は非常に手頃なものになるという。これまで、Power BI Premiumのサブスクリプションは専用リソースに対して課金されており、ユーザーには組織単位で専用のインフラが用意され、価格は月額4995ドル(約53万円)だった。Premiumサブスクリプションを購入すると、「Power BI Pro」ではレポートやダッシュボードを閲覧するユーザーごと(作成したユーザーではなく)に必要な月額9.99ドル(約1100円)のシートライセンスが不要になるため、大企業にとっては割安になる。しかし、個人や小規模な組織とっては料金が高すぎるため、それらのユーザーは、一部の重要な人工知能(AI)機能を含む、Premium限定の機能から締め出されていた格好だった。
しかし今後は、個人もシート単位のProライセンスをPremiumにアップグレードする余地が生まれるだろう。プレビュー期間中は、追加費用なしでアップグレードできるという。新しい価格はまだ明らかになっていないが、Microsoftは「業界の中でも極めて競争力が高い、ほかにはない手頃な価格」になるとしている。これは、個人のサブスクリプションベースでPower BIプラットフォームの全機能が利用できるようになるユーザーにとっては、素晴らしいニュースだろう。
またPower BI Premiumには、過負荷が検出された顧客に追加の「Vコア」(仮想CPUコア)を24時間単位でプロビジョニングすることが可能になる、自動スケーリング機能が導入される。Ulag氏によれば、アイドル時間中には追加のVコアは自動的に削除されるという。