IDC Japanは10月6日、国内の“顧客体験(Customer Experience:CX)”関連ソフトウェア市場予測を発表した。売上額をベースとする2019年の市場規模は、前年比9.1%増の4512億5600万円。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で成長が一時的に鈍化するも、2021年以降は堅調に成長するという。
同社は、市場を「企業が顧客体験を差別化する目的で選択するデジタル戦略、技術、ビジネスプロセス、サービス提供を遂行するための製品/サービス群」と定義。
顧客関係管理システム(CRM)や統合基幹業務システム(ERP)、Slack、Microsoft、Boxなどが提供する“コラボレーティブワークスペース”ソフトのうち、CXを向上させるためのソフトで構成する複合市場に焦点を当てたと説明している。
2020年に開催予定だった東京五輪に合わせたインバウンド顧客への対応、働き方改革やCX向上を目的とするデジタルトランスフォーメーション(DX)といった各企業の施策を背景に、2019年の市場は高成長率で推移。
中分類では、「CX関連アプリケーション市場」が前年比8.3%増の2738億5900万円、「CX関連アプリケーション開発/デプロイメント市場」が前年比11.2%増の1444億100万円、「CX関連システムインフラストラクチャソフト市場」が前年比7.2%増の329億9500万円となっている。
新型コロナウイルス感染症の影響で2020年の市場成長は鈍化するが、ニューノーマル(新常態)により顧客のデジタルシフトは加速。デジタルタッチポイントが拡大、デジタルCX向上が重要な課題となっているという。
2021年以降の市場は顧客データの収集、分析需要が牽引し、堅調に成長。2019~2024年の年平均成長率(Compound Annual Growth Rate:CAGR)を5.5%、2024年には5885億600万円になるとしている。
IDC Japanでソフトウェアグループ マーケットアナリストを務める太田早紀氏は「国内CX関連ソフト市場が今後も成長するため、全社でCX向上を本格化するためのデータ統合やマネジメントソリューションの提供、CXに関する業務フローの明確化と関連ソフトへの人工知能(AI)の組込み、顧客からの信頼獲得のための取組などがITサプライヤーにとって重要である」とコメントしている。
CX関連ソフト市場予測、2020~2024年(出典:IDC Japan)