中古車情報「グー・ネット」などで知られるプロト・コーポレーション(名古屋市中区)は1977年創業で連結の従業員数は1456人。
グループ企業からデータ入力やコールセンター運営などを請け負っているのが、2007年に設立されたプロトソリューション(沖縄県宜野湾市、単体従業員数538人)だ。そこで得られた知見をもとにグループ外の企業からもビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)事業を受託するようにもなっている。
現在では、グループ外の企業を対象にデジタルマーケティング事業、ITインテグレーション事業、メディア事業、コミュニケーションサポート事業、人材支援事業へと業務範囲を拡大している。沖縄と宮城の2本社制で社員の大多数が沖縄に在籍、東京にも拠点を構える。
経理担当者のチェック業務に大きな負担
ここ数年、国レベルで働き方改革の取り組みが推奨されているが、生産性の向上および労働環境を改善するために重要なポイントとなるのが、ITを活用したビジネスプロセスの高度化である。そしてこのコロナ禍で、長らく続いてきた紙と押印ベースで進むワークフローをITベースで改善する必要性が、より強く認識されるようになっている。
プロトソリューションでも、社内業務のIT化を進めるプロジェクトを推進。特に経理業務にかかわる経費精算と稟議プロセスのIT化が大きな課題として認識されていた。プロトソリューション管理部門管理部責任者課長の新家佳樹氏は、「経費精算が紙で対応する形だったため、担当者の負担が大きかった」と語る。
管理部門 責任者課長を務める新家氏
以前は、まずExcelで従業員が精算書を作成、印刷して上長に提出。上長が確認して経理部門に回し、経理で交通費などをチェックして会計システムに入力していく形だった。上長の押印プロセスが介在することによるスピードの遅さや、個々が入力する数値の間違いなどの問題が発生していたという。
特に、間違いの多さでは経理現場でのチェック作業に大きな負担となっていたと説明する。「運賃は各自がネットの検索サイトで調べて入力するため間違いが発生しやすかった。規定に沿わない額の日当手を書く人もおり、差戻処理に時間がかかっていた」と新家氏は語る。差戻率は約7割に達していたという。
経理目線で作られていることが導入の決め手に
そこで同社は、2018年3月にラクス(渋谷区)が提供するSaaS型の経費精算システム「楽楽精算」を導入した。まず、営業部門の30人程度から利用を開始し、その後精算が発生する150人程度にまで拡大。さらに、2019年4月にオプションのワークフロー機能を使って稟議工程を電子化し、現在は250人程度が楽楽精算のサービスを活用。必要に応じて随時対象者のアカウントを追加していく形で運用している。
導入にあたっては、工数の削減とコストメリットを重視。「複数のサービスを検討したが、初期費用や欲しい要件を勘案した結果、自分たちがやりたい精算ができるのが楽楽精算だった。経理目線で作られていることで課題解決につながった」と新家氏は選定理由について説明する。
楽楽精算は、経理業務に配慮されてサービスが設計されている。例えばプロトソリューションでは交際費清算の場合、1人あたり5000円を超えるかどうかの判定が必要になってくるが、「一般的なワークフローシステムでは、処理を回すことはできても金額的な判定ができない。さらに、楽楽精算はシステムの裏で勘定科目と項目が結びついていて、申請者がバスを選択すると自動的に旅費交通費という勘定科目で自動的に会計処理できる。人を介さずに申請者から会計システムまでデータが直接流れていく」(新家氏)のである。
また新家氏は、感覚的に使える操作性も採用ポイントとして挙げる。「申請書を作る際に、簡単なクリック操作で項目を追加しながら作ることができる」など、設定や入力画面のユーザーインターフェース(UI)の良さを指摘する。
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