ファイテンは販売管理システムのデータベース基盤を「Oracle Database Cloud」に移行し、データ管理の効率化と最大40倍の性能向上を実現した。
Oracle Database Cloudの採用を2019年末に決定。その後、「Oracle Database Enterprise Edition」の機能を利用した各種処理の最適化やオンプレミスからクラウドへの移行リハーサルなどを経て、2020年6月に移行を完了している。
これにより従来、約10分間を要していた受注データの取り込みが約15秒で完了するようになったほか、管理表の作成が約120分から約10分に短縮された。さらに、これまで2週間程度を要していた会員へのポイント付与がリアルタイムで行えるようになった。
スポーツ関連商品や健康グッズをはじめ、さまざまな商品を展開している同社の販売管理システムは、これまで国産ベンダーのパッケージアプリケーションと「Oracle Database Standard Edition」で構成され、オンプレミスで運用されていた。
しかし、ビジネスの拡大とともに、それぞれのビジネスプロセスを担うITシステムから得られるデータも年々増加しており、それらを集約して取り扱う販売管理システムでは処理性能の低下が課題となっていた。
そこでデータ圧縮、パーティショニング、データベースへの問い合わせの並列化、チューニングアドバイザー機能などによって性能向上が図れると判断し、Oracle Database Enterprise Editionへのアップグレードを決定した。その際に、運用効率や将来的な改修負荷の削減を鑑みて複数のパブリッククラウドを検討した結果、「Oracle Cloud Infrastructure」で利用するOracle Database Cloudを採用することとなった。
Oracle Database Cloudの選定理由として、他社のクラウドサービスと比較して同コストでIOPSが2倍以上といったOracle Cloud Infrastructureのコストパフォーマンスが挙げられている。またデータ量に応じてIOPSが増加するため、将来的にデータ量が増大しても性能低下の不安がない点や、さらに高度なデータベースの性能が必要になった場合には、「Oracle Exadata Cloud」といったより上位サービスの利用が可能なことも評価された。
また、データセキュリティの観点からオンプレミスのアプリケーションとクラウド上のデータベースを閉域網で接続することを必須要件としていることや、「Oracle Cloud」の大阪リージョンがファイテン本社周辺の関西エリアにあることで低遅延でのアクセスが可能で、数多くのキャリアの閉域網で接続できることも採用の大きな理由となっている。