その兆しは2年前からあった。OpenStack Foundationの守備範囲は、OpenStackのInfrastructure-as-a-Service(IaaS)クラウドだけにとどまろうとはしていなかった。そして米国時間10月19日、同組織は2021年から、オープンソースのクラウドやコンテナーといったさまざまなテクノロジーを対象とするOpen Infrastructure Foundation(OIF)という組織に生まれ変わると発表した。
なぜこれほどまで時間がかかったのだろうか。OpenStack Foundation 最高執行責任者(COO)のMark Collier氏は「適切な形で成し遂げたかった」ためだと述べた。その理由の1つに、The Linux FoundationのCloud Native Computing Foundation(CNCF)との違いを明確にしたかったというものがある。CNCFの守備範囲はかなりの部分で共通している。
OpenStack FoundationのエグゼクティブディレクターであるJonathan Bryce氏は「OpenStackは依然として、世界で最もアクティブなオープンソースプロジェクトのトップ3に入っている。これはインフラの現状そのものを反映している。また、オープン性がどんどんユビキタスなものになっていく刺激的な新しいトレンドが数多く生まれている」と述べた。
またBryce氏によると、クラウドは以下のようなものごとを実現すると考えられていたという。
全ては標準化されるとともに簡素化され、全てが仮想化機能や仮想化されたワークロードを用いるコモディティーサーバーについての話になったことで、あらゆるものがハードウェアに依存せず、データセンターに依存しないメニュー駆動型のものとなり、かつてないほどのハードウェアの多様性が実現された。われわれの手には、x86だけでなくArmやRISCもある。また、われわれはGPUやFPGAといった専用のアクセラレーターも使用できる。
Bryce氏は「クラウドに関する社会通念は他にもあった」と述べ、それは「全てが大規模かつ一極集中化されたデータセンターに移行するというものだった。しかし、われわれはかつてないほど多くの配備や多様性、インフラの実行モードを目にしており、ハイパースケールクラウドというものも実現されている。さらにエッジ環境上のマイクロクラウドに至るまでの小規模配備も実現されている」と続けた。
クラウドの発展過程で生み出されてきた、これらのさまざまな形態を使用する上で、新たなソフトウェアプログラムが必要とされる。そこでOIFの出番がやってくるというわけだ。この新団体の使命は、新たなユースケースを実現するための力となるオープンソースコミュニティーを作り上げるというものだ。
OIFの設立メンバーは60社を超えており、プラチナメンバーとしてAnt GroupやAT&T、Ericsson、FiberHome、華為技術(ファーウェイ)、Red Hat、Wind River、Tencentが名を連ねている。また同団体は、187カ国以上にまたがる10万人を超えるコミュニティーメンバーを抱えることになる。同団体のプロジェクトには「Airship」や「Kata Containers」「OpenInfra Labs」「OpenStack」「StarlingX」「Zuul」が含まれ、直近ではFacebookとFreedom Fiの「Magma」5Gプロジェクトがある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。