米大統領選のセキュリティ、警戒続く--投票日終え外国の干渉など形跡はみられず

Alfred Ng (CNET News) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2020-11-06 19:27

 投票機の設定の誤り、予想外の投票者数の増加、手指消毒薬の使いすぎ。米国の選挙では、これらの理由でジョージア州、オハイオ州、アイオワ州などの州で投票に遅れが生じたようだ。しかし、米国時間11月3日の夜に行われた関係機関の発表によれば、発生した問題の中にサイバー攻撃は含まれていなかった。

Election Day
提供:Michael Ciaglo/Stringer/Getty Images

 大統領選挙の行方はまだ定まっていないが、サイバーセキュリティインフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)と国家安全保障局(NSA)は、50州すべてについて、 サイバー攻撃が投票に影響を与えることはなかったと結論づけた。

 選挙に至るまでの数カ月の間に、ロシア、イラン、中国のハッカーが何度か攻撃仕掛けてきたとみられており、最終盤には、イランから米国の有権者に脅迫メールが送られるという事態も発生した。しかし、CISAとNSAの担当者によれば、選挙日の投開票に対するサイバー攻撃の試みは、2016年や2018年と比べてずっと少なかったという。

 あるCISAの高官は、今回の選挙日について、「今日の様子は、普段の火曜日に見られるインターネットの様子と同じだった」とコメントした。「今日はおおむね、少々暇を持て余していた。だが率直に言って、これはよいことだ」

 サイバーセキュリティ担当者はこの日、1日中攻撃に備えていた。担当者は、何度か開かれた記者会見で、まだハッキングが発生するだけの時間があると話し、慎重な態度を崩さなかった。実際、当局の担当者は、開票作業が続く間に、偽情報の拡散や、投票システムに対する信用を損なうことを目的としたソーシャルメディアに対する攻撃が起こることを警戒している。

 CISAを統括するChris Krebs氏は、11月4日に発表した声明の中で、投票を終えて「外国勢が投票の妨害や票の集計の改変などを行えた形跡はみられなかった」とし、「私たちは引き続き、外国のアクターによる、継続中の開票作業や投票結果の認証作業を標的として、妨害しようとする試みを警戒する。米国民の皆さんは外国からの働きかけに対する最終防衛線であり、今後数日間から数週間にわたって、引き続き忍耐力を発揮して頂くようお願いする」と述べている。

 2016年の米国大統領選挙でロシアサイバー攻撃を受けて以来、選挙のセキュリティは大きな懸念事項になっている。2016年には、フロリダ州の2つの郡で有権者登録情報を盗まれたとみられている。また、民主党全国委員会(DNC)の電子メールがアクセスされたが、投票結果は影響を受けなかったという。

 しかし、セキュリティ研究者は投票機のハッキングが容易であることを示しており、2016年の選挙では民主主義の脆弱性が示された。そうした中、国土安全保障省は2018年に、今日の脅威からの防御や重要インフラの保護を目的とするCISAを設立した。選挙インフラのセキュリティ確保もCISAの大きな任務の1つとなっている。

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