Dayta Consultingは、トランザクションレンディングを対象とした人工知能(AI)審査サービスの提供に向け、コンソーシアム(集団参加)型AI審査モデルを開発した。
トランザクションレンディングとは、主に財務情報を基に借入条件(借入可能額や借入利率)を決定する従来の融資形態ではなく、日々の取引データを基に借入条件を決定するFinTechを代表する新しい融資形態。
今回構築したモデルは、複数行のデータを用いることで、豊富かつ多様なデータをAIの学習に反映できるため、債務不履行となるデータの特徴を高精度に捉えてPD(Probability of Default:債務不履行の確率)の推計が可能。このため、融資に伴うリスクを精緻に把握できるほか、融資判断の迅速化と信用コストのコントロールを可能とし、より多くの融資引き受けに寄与するという。
コンソーシアム型AI審査モデルの概要(出典:住信SBIネット銀行、日立、Dayta Consulting)
Dayta Consultingは、住信SBIネット銀行と日立製作所が共同出資して2019年に設立した企業で、AI審査サービスや金融機関向けコンサルティングサービスを主要事業にしている。
同社では3月から、東邦銀行、愛媛銀行、住信SBIネット銀行をはじめ、多数の地方金融機関において、AI審査モデルの開発に向けたPoC(概念実証)を開始し、トランザクションレンディングにおける複数の銀行データを活用したコンソーシアム型の新たなAI審査モデルの構築に取り組んできた。
AI審査サービスと従来の与信審査との比較(出典:住信SBIネット銀行、日立、Dayta Consulting)
今後は参加行を拡充しながら、トランザクションレンディングを対象としたAI審査サービスの本格的な提供開始を目指し、さらなる検証を進めていくという。