日本オラクル、基幹業務のDXを推進するSaaS最新機能を展開

藤本和彦 (編集部)

2020-11-16 17:39

 日本オラクルは11月12日、同社のSaaS事業に関する最新動向と機能強化についてオンライン説明会を開催した。機能強化については既に9月に米国で発表されているものから、日本のユーザー向けに注目度の高いものが幾つか紹介された。

 会見の冒頭で、執行役員クラウド・アプリケーション事業統括 ERP/HCMクラウド事業本部の善浪広行氏は、「デジタルトランスフォーメーション(DX)に求められる変化してきた。DXの重要性は以前と変わらないが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で動きが加速しつつある」と直近の状況を振り返る。

執行役員クラウド・アプリケーション事業統括 ERP/HCMクラウド事業本部の善浪広行氏(左)とクラウド・アプリケーション事業統括 事業開発本部ディレクターの中島透氏
執行役員クラウド・アプリケーション事業統括 ERP/HCMクラウド事業本部の善浪広行氏(左)とクラウド・アプリケーション事業統括 事業開発本部ディレクターの中島透氏

 リモートワークによる新しい働き方への対応や業務プロセスの自動化、会計処理の早期化、供給網の弾力性・人材の流動性の確保、販売のデジタル化、既存顧客への販売強化、業績予測と事業への反映に加え、ニューノーマル時代の事業環境の変化への対応など、DXの必要な領域は拡大、変化しているとする。

 そうしたDX推進を支えるのが同社のSaaSになると善浪氏は強調する。研究開発における全社年間投資額は60億ドル以上で、20万人以上のメンバーがいるCloud Customer Connectコミュニティーからさまざまな意見を吸い上げ、その要望に基づく新機能を3カ月ごとにリリースしている。「サービスの導入後も陳腐化せず、お客さまとともに進化していく」(同氏)

 善浪氏はまた、旧来型のERP(統合基幹業務システム)は業務プロセスの分断が発生し、システム間連携や整合性検証の負荷や情報集約に伴うタイムラグなどの問題があるといい、膨大な数のアドオン開発によってバージョンアップが困難な「DXの足かせとなるシステム」であると指摘した。

 一方の「Oracle Fusion Cloud ERP」は、広範な業務がシームレスに連係し、段階的な導入が可能な点やリアルタイムの意思決定支援、人工知能(AI)などを活用した将来予測、共通基盤によるアドオンの極小化など、進化を続けるSaaS基盤として「DXを加速させるシステム」だとアピールした。

l旧来型ERPとOracle Fusion Cloud ERPの比較
l旧来型ERPとOracle Fusion Cloud ERPの比較

 今期の事業戦略については、「顧客のDX推進を支えるビジネスパートナー」になることを目指し、(1)インダストリーを軸とした体制、(2)Oracle EBS/PeopleSoftなどの既存顧客のSaaS移行促進、(3)パートナーとの協業ビジネスのさらなる展開、を強化していくとした。

 SaaSの機能強化については、クラウド・アプリケーション事業統括 事業開発本部ディレクターの中島透氏が説明。経営管理・会計領域とサプライチェーン領域の強化ポイントについて明らかにされた。

 経営管理・会計領域では、AIやデジタルアシスタントによる業務遂行の効率向上につながる機能強化が図られた。

 具体的には、空欄や不適切なコードがある管理項目にAIが適切な値を提示する仕訳の自動判断や、リコンサイルなどの不適合内容を判断して自動的に担当者へメッセージを送付するエラーハンドリングの自動化、「Oracle Fusion Cloud EPM」のコンテキスト内で段階的なチュートリアルを提供する画面操作アシストなどの機能が追加された。

 また、Oracle Fusion Cloud EPMの計画・予算とOracle Fusion Cloud ERPのプロジェクト管理の連係も可能になった。これにより、プロジェクトの予測、予定、実績の管理をよりシームレスに行えるようになった。

キャプション
Oracle Fusion Cloud EPMとOracle Fusion Cloud ERPのプロジェクト連係

 サプライチェーン領域については、デジタルアシスタントやインテリジェントプランニングなどの機能が強化されている。

 即応性の高い対話型のインターフェースを通じてリアルタイムのサプライチェーン情報にアクセスでき、注文状況や輸送状況の追跡といった業務遂行の負荷を軽減する。

チャットボットによる対話的なやりとり例
チャットボットによる対話的なやりとり例

 より高度な需要予測を可能にするプランニング・アドバイザー機能では、MLアルゴリズムによる、新製品の市場導入を最適化する推奨事項を提示し、現在や今後予想される生産の中断などにも対応する。

 プロジェクト型生産管理への対応強化も図られており、単一システムでさまざまな生産形態への対応が可能になった。

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