NECは11月19日、同社のベクトル型スーパーコンピューター「SX-Aurora TSUBASA」の中核コンポーネントとなるベクトルエンジンをPCI Express規格のカードとして製品化し、販売を開始すると発表した。ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)領域で新たな市場を開拓するとしている。

PCI Express規格カードのベクトルエンジン
新製品は、PCI Express規格サイズのカードに単一コア性能/単一コアメモリー帯域を持つコアを8個内蔵し、1枚当たり2.45テラフロップスの演算性能、1.53TB/秒のメモリー帯域を実現している。価格は114万4000円から。2021年1月に出荷を開始し、今後3年間に累計100億円の売り上げを見込む。
同社は、2018年2月以降にSX-Aurora TSUBASAを大学や研究機関、大手製造業など100組織に提供しているといい、今回はこの中核となるVEを単体製品化することで、中堅・中小製造業での研究開発用途といった新市場を創出するという。
これに併せて同社は、「NECパートナー共創コミュニティ for SX-Aurora TSUBASA」の中で、新たに「Vector Engineパートナー検証プログラム」なども開始する。VEの製品化により、サーバーベンダーは自社製品にVEを組み込んで独自ブランドのベクトル型スーパーコンピューターを販売できるほか、システムインテグレーターは汎用サーバーとVEを組み合わせて顧客に提供できるという。
同社はC、C++、Fortranなど汎用プログラミング言語によるプログラムをベクトル演算用に最適化する独自コンパイラーも提供。これによりシステムインテグレーターはVEの用いるアプリケーションを容易に開発できるという。サーバーベンダーのパートナーとの連携も進め、VEを搭載した動作確認済み汎用サーバーの機種を順次拡大していくとしている。
この他にもカゴヤ・ジャパンと連携して、SX-Aurora TSUBASAを保有する組織がシステムをカゴヤ・ジャパンのデータセンターに収容できるハウジングサービスを始める。料金初期費用が15万円から、月額費用が8万1000円からとなっている。