Lenovoのデータセンター支援事業が好調だ。その立て役者がこの4年間、同事業の責任者として陣頭指揮を執ってきたKirk Skaugen氏だ。ただ、この事業分野ではDellやHPEといった競合との激しい戦いが続く。勝算はあるのか。同氏に斬り込んでみた(写真1)。

写真1.Lenovo エグゼクティブバイスプレジデント 兼 データセンターグループ担当プレジデントのKirk Skaugen氏
存在感が増してきたLenovoのデータセンター支援事業
「新型コロナウイルスの感染防止策としてグローバルで在宅勤務が広がり、PCなどのデバイス需要が高まるとともに、テレワークを支えるインフラとしてデータセンターの増強が進んだことで、私たちの事業の業績は好調に推移している」
今回の取材に際し、米国ノースカロライナの自宅からオンラインでインタビューに応じたLenovo エグゼクティブバイスプレジデント兼データセンターグループ(DCG)担当プレジデントのKirk Skaugen(カーク・スコーゲン)氏は、2020年にグローバルで広がった新型コロナウイルス感染症の拡大によるデータセンター支援事業の業績への影響を聞いた筆者の質問に対し、こう答えた。
そして、「PCをはじめとしたデバイスとデータセンターによるインフラを合わせて多様な顧客ニーズに対応できるのが、Lenovoならではのユニークなところだ」と強調した。
同社の2020年度第2四半期(2020年7~9月)業績によると、全体の売上高は前年同期比7%増の145億ドル、そのうちデータセンター支援事業は同11%増の14.8億ドルで2桁成長を果たした。同時にデータセンター支援事業が全体の1割を超える存在になってきた。
Lenovoの事業というとPCをはじめとしたデバイスのイメージが強いが、2014年10月にIBMのx86サーバー事業を買収して、データセンター支援事業に本格的に乗り出した。その後、2016年11月にIntelから移籍してきたSkaugen氏が同事業の責任者となり、2017年4月に事業推進体制を刷新するとともに新たな事業戦略を打ち出し、これまで着実な成長を遂げ、グローバルのデータセンター支援事業分野で確固たる存在感を発揮するところまできた印象だ。
ただ、グローバルのデータセンター支援事業分野にはLenovoと同様、PCなどのデバイスとともに、サーバーやストレージ、ネットワーク製品、関連ソフトウェアなどデータセンターを構築するインフラ製品を手掛ける強力な競合ベンダーが複数存在する。中でもDell TechnologiesとHewlett Packard Enterprise(HPE)は巨大な強敵だ。さらに、日本では富士通やNECなどの国産ベンダーの勢力も強い。こうした競合との市場争いの中で、Lenovoはユーザーに対してどのような優位性を訴求できるのか。