NECは、日本取引所グループの日本取引所自主規制法人にホワイトボックス型AI(人工知能)を搭載したシステムを提供した。
同システムは、一日数千万件に上る売買取引において、相場操縦行為等の不公正取引の調査を行う売買審査業務向けに提供し、12月に稼動している。
AIを活用した売買審査業務の概要イメージ
日本取引所自主規制法人は、2007年に東京証券取引所から金融商品取引法で定義されている「自主規制業務」を受託し、業務を遂行している。
高い専門性を発揮しながら、中立性・実効性を確保できる組織体制となっており、2018年に売買審査の初期段階の調査にNECのAIを導入するなど情報通信技術を活用した不公正取引の監視・防止の取り組みを強化している。今回の導入により、さらに深度のある売買審査業務の実現に取り組んでいく。
同システムには、NECの異種混合学習技術が搭載されている。この技術はホワイトボックス型AIとして、審査業務においても高度な予測精度と予測に至る根拠を可視化する解釈性を両立している。また、人間では気づきにくいリスクをAIが検知・可視化することで、新たな観点から不公正取引の防止に寄与することも期待できるという。
異種混合学習技術は、多種多様なデータの中から精度の高い規則性を自動で発見し、その規則に基づいて、状況に応じた最適な予測を行う。予測の根拠を分かりやすく示すことができ、なぜそういう予測に至ったかの理由を確認できる。