調査

IAでワークフローや顧客体験の改善へ--ゼブラ、2021年のテクノロジートレンドを予測

大場みのり (編集部)

2021-01-06 07:00

 自動認識機器を展開するゼブラ・テクノロジーズ(ゼブラ)は、2021年に企業での導入が進むと予想されるテクノロジーのトレンドを発表した。

 同社は、2021年に企業が注力するべきテクノロジーとして、コンピュータービジョン/マシンビジョン、人工知能(AI)、ロボティクスを含むインテリジェントオートメーション(IA)、小売/倉庫の自動化、データアナリティクス/プリスクリプティブアナリティクスを挙げる。プリスクリプティブアナリティクスとは、データを基に次に取るべきアクションを導き出す分析手法。企業は「ニューノーマル(新常態)」を乗り切るべく、こうした新たなテクノロジーのソリューションを統合することが重要だとしている。

 新型コロナウイルス感染症は、2021年もさまざまな業界に影響を及ぼすとみられる。一方で、EC(電子商取引)、自動化、サプライチェーンの最適化など、既にトレンドとなっていたテクノロジーの活用を加速させるきっかけにもなったという。オペレーションと収益性を維持するために新しいテクノロジーのソリューションを統合し、継続的なピーク需要やサプライチェーンの混乱に対処できるようワークフローを最適化することは、ビジネスの成功に欠かせないものになるとしている。

 企業は、機械学習やプリスクリプティブアナリスティクスのソリューションと連携したロボティクスやAIなど、IAへの投資を強化している。特に、現場の作業員に知見を提供することでリアルタイムでの行動を促したいと考える企業は、これらのテクノロジーを優先的に導入する必要があるという。

 2021年に企業が注力するべきテクノロジートレンドは、以下の通り。

コンピュータービジョン/マシンビジョン

 コンピュータービジョン/マシンビジョンのソリューションが発展したことで、企業は業界を問わず、物理的な環境をより正確に描写できるようになった。コンピュータービジョンシステムはより幅広く、大胆な方法で世界を視覚的に解釈/理解するためのソリューションを提供する。例えば、在庫の可視化や売り場における精算の合理化においては、人間の能力に匹敵する認識能力を誇るという。コンピュータービジョンの一部であるマシンビジョンは、視覚技術を活用することで検査分析と異常検出に特化している。コンピュータビジョンとマシンビジョンは情報を収集/処理/解釈し、行動を指示する機能を備えており、通常であれば手間のかかる作業を伴う問題を解決に導くという。

AIやロボティクスを含むIA

 IAとは、AIや機械学習などを組みあわせてビジネスプロセスを自動化する仕組み。「Alexa」「Siri」といった消費者向けのバーチャルアシスタントによって促進されている。企業はこのタイプの機械学習テクノロジーを応用することで、ワークフローや配送、顧客体験の改善に着手できる。AIは企業の能力を向上させ、最適な次のアクションを提示する。さらに、AIとロボティクスはIoTやインダストリー4.0におけるトレンドの一環として、IAを推進している。2021年は製造/物流業界でAIの活用が増加すると見込まれる。

小売/倉庫の自動化

 2020年はオンラインショッピングへの移行が拡大し、ECの成長を後押しした。ECは2020年に転換期を迎え、現時点で世界中の小売チェーンにおいて売上高の28%を占めている。これに伴い、オンラインコマースへの移行はおよそ3年前倒しされることとなり、小売業界はECのフルフィルメント(受注から配送までのプロセス)遂行に関連した収益性の課題に直面するとみられる。同業界は、実店舗、フルフィルメントセンター、物流において速やかにワークフローの合理化に対応することを強いられている。倉庫管理やサプライチェーンに関しては、物理的な自動化、RFID、温度検知テクノロジーがロボティクスの成長と融合することで、フルフィルメントセンターのEC業務が改善するという。

データアナリティクス/プリスクリプティブアナリティクス

 可視性の向上とインテリジェントプランニングのニーズはますます重要になっている。データはかけがえのない資産であり、より良い結果を出すために適切なタイミングで適切な人物が用いて初めて威力を発揮する。ほぼリアルタイムに取り込んだデータにプリスクリプティブアナリティクスのソリューションを適用することで、パフォーマンスが向上し、より安定した対応を取ることが可能となる。アナリティクスを導入している企業は多くの場合、過去のデータを運用/最適化しているが、リアルタイムの行動と成果を促す新たなストリーミングデータソース(数千ものデータソースによって継続的に生成されるデータ)の導入や、予測モデルを投入するという課題もある。

 これらのトレンドについて、ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパン社長の古川正知氏は、次のように述べる。「適切な作業員配置、在庫管理からフルフィルメントの最適化まで、インテリジェントプランニングソリューションとプリスクリプティブアナリティクスは経営上の重要な課題に答える役割を果たし、ニューノーマルにおいて業務をさらに効率化する。現在進行形で起きていることの計画を立て、そのデータを活用して新しいビジネスや業務上の意思決定をリアルタイムで予測する力は、企業にとって必須要件となりつつあり、2021年にはその重要性が高まるだろう」

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