「CentOS」の開発元であるRed Hatが「『Red Hat Enterprise Linux』(RHEL)のリビルド版であるCentOS Linuxから、最新版のRHELの少し先を先行する『CentOS Stream』に重心を移す」と発表した際、多くのユーザーは抗議の声を上げた。その声を聞いたCloudLinuxはすぐさま、CentOSの代わりになるRHELクローンを開発する「Lenix」プロジェクトを立ち上げ、年間100万ドル(約1億400万円)以上を投資すると発表した。そして同社は米国時間1月12日、この代替OSの新名称「AlmaLinux」とともに、より具体的な計画を発表した。
CloudLinuxの創業者で最高経営責任者(CEO)のIgor Seletskiy氏は同社のこうした行動について、「CentOSという安定版のリリースが廃止されることで、Linuxコミュニティーに大きなギャップが生じた。このためCloudLinuxは立ち上がり、CentOSの代替を開発すると決意した。CloudLinuxにとって、これは自明の選択だった。Linuxコミュニティーは助けを必要としていた。(中略)AlmaLinuxはCloudLinuxの専門性をベースにして作り上げられるが、コミュニティーによって所有、統制される。われわれは、今後もずっと無償となるこのLinuxディストリビューションを、今四半期中にリリースするつもりだ」と説明した。
CloudLinuxが、RHELクローンを作り上げる上で必要となるノウハウを有しているのは間違いない。同社は、RHELとCentOSのコードをベースにして細かいチューニングを施し、「CloudLinux OS」として提供するという事業を手がけている。この法人向けLinuxディストリビューションは、マルチテナント型のウェブ/サーバーホスティング企業向けにカスタマイズされた高性能な軽量サーバーOSとなっている。
同社は10年にわたり、データセンターやホスティング企業向けにCentOSを強化してきた経験を有しており、企業インフラや、カーネル開発、オープンソースソフトウェアに関する技術上の深い知識を同プロジェクト(CloudLinux OS)にもたらしている。CloudLinux OSは20万超の製品インストールベースおよび4000超の顧客を抱えており、同社のユーザーとして、Liquid Webや1&1、Dell Technologiesも名を連ねている。
AlmaLinuxは、「RHEL 8」(およびその後継リリース)と1対1でバイナリー互換性を持つ、無償かつオープンソース、そしてコミュニティー主導型の製品となる。同社はCentOSユーザーに対して、AlmaLinuxによって既存のCentOSサーバーを一切停止させることなく、また何かを再インストールする必要もなく、連続運転している状態で移行する手段を提供すると約束している。さらに同社は、多くのCentOSサーバーを短時間で、再インストールやリブートの必要なくポーティングできるようにするとも述べている。
AlmaLinuxという名称はラテン語のAlma、すなわち「魂」や「精神」に由来している。CloudLinuxは、Linuxコミュニティーの絶え間ない努力に敬意を表してAlmaLinuxという名称を選択したのだという。
CloudLinuxは2029年までAlmaLinuxをサポートするとしている。AlmaLinuxの最新情報を把握するには、AlmaLinuxのRedditページを確認するよう促している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。