電子契約サービス「クラウドサイン」、開発ロードマップ公開--3つを“再発明”

阿久津良和

2021-01-26 07:00

 弁護士ドットコムは1月21日、事業戦略説明会を開催した。オンラインで完結する電子契約サービスの「クラウドサイン」は、2015年10月のサービス提供開始以来、導入件数は10万社を突破している。

弁護士ドットコム 取締役 クラウドサイン事業本部長 橘大地氏
弁護士ドットコム 取締役 クラウドサイン事業本部長 橘大地氏

 1873年に開始した印鑑制度から数えて140年超を迎えた今、同社は今後を見据えたロードマップを発表した。その理由として取締役 クラウドサイン事業本部長 橘大地氏は「昨年から『脱ハンコ』という言葉が飛び交った。脱するのは構わないが、140年間の歴史に置き換わる代替サービス、社会基盤が求められている」と説明する。

契約管理、契約決裁、実印を再発明

 2020年9月4日、総務省、法務省、経済産業省は連名で「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法第3条関係)」(以下、電子署名法第3条Q&A)と題した文書(PDF)を公表した。

 要約すると、電子署名プロセスに十分な水準の「固有性」が満たされている場合、電子文書が真正であると推定される。ここでいう固有性とは、サービス提供事業者と利用者間、サービス提供事業者内部に、一定以上の暗号化レベルやユーザーのユニーク性を担保することを求めたものだ。

日本組織内弁護士協会 理事 弁護士 渡部友一郎氏
日本組織内弁護士協会 理事 弁護士 渡部友一郎氏

 日本組織内弁護士協会 理事で弁護士の渡部友一郎氏は、電子署名法第3条Q&Aについて「新電子署名法」だと説明。「ただ行政のお墨付き、Q&Aにすぎない、という誤解が一部に残っている。(電子署名法は)20年前のクラウドサービスが出る前の古い法律。行政の解釈変更で実質的な法改正が行われたというのが正しい理解」だと評した。

 その上で電子署名法自体が、20年間アップデートがないOS、馬車と自動車の関係を比喩に用いながら、渡部氏は「自動車が馬車に戻らないように、クラウド型電子署名は社会インフラになる。ただ、既得権を持つ団体から『新しいルール』を覆す試みには注意が必要。新しいルール下では事業者の創意工夫と競争が求められる」と解説した。

 2021年夏以降までの計画について、橘氏は「次の100年を支える確約としてタグラインを提示した」と語る。基本的にはクラウドサインの機能やセキュリティ強化だが、これからの100年を支えるためには(1)「契約管理の再発明」(2)「契約決裁の再発明」(3)「実印の再発明」——の3つが必要だと強調した。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]