この結果についてAnderson氏は、「顧客は1つのプラットフォームにとどまることを望んでいない。組織は常に効率よく業務を進める準備に取り組んでいる」と調査結果について語った。

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前回までのレポートにない項目として新たに加わったのが、リモートワークで人気のあるアプリケーションの分析。昨年はオンライン会議や開発環境、学習環境向けアプリケーションを個別に扱っていたが、コロナ禍でリモートワークという分類を設けたのだろう。
ファイル共有や電子署名など目的別の分類結果を見ると、ここでも見慣れたZoomやDocuSign、Slackなどが確認できる。自宅勤務やリモートワーク環境で欠かせないオンライン会議システムだが、クライアント数ベースではZoomが圧倒的。前年比64%の成長を遂げた。
過去のレポートを見ると2018年1月の時点でZoomがトップに躍り出たが、2位以下のオンライン会議システムとの差は大きく広がっている。ただし、2位のCisco Webex(15%増)、3位のRingCentral(18%増)も成長し、新たにSkypeがランクインした。なお、Microsoft TeamsはMicrosoft 365の認証をカウントしているので含まれない。

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AWS Client VPNが急成長
人事系アプリケーションはWorkday(前年比23%増)、BambooHR(同38%増)、Culture Amp(同75%増)がトップ3を飾り、新たにLattice(同109%増)がランクインした。ネットワークセキュリティツールは、過去3年間で1976%の成長を遂げたPalo Alto Networks GlobalProtect、過去3年間で1130%増のCisco AnyConnectが目立つ。
また、2020年5月からAWS Client VPNが急成長しているのは、リモートワーク需要が背景にあることは確実だろう。クライアント側で利用するセキュリティツールは、過去2年間で194%の成長を遂げたKnowBe4、同じく過去2年間で582%増の1Passwordが特徴的だった。
今回のレポートでは、開発者に人気がある開発言語も調査しており、圧倒的だったのはJavaScript。Okta顧客の63%が使用し、前年比24%の成長率を見せている。そこにGo(24%増)、Java(23%増)が続くものの、前回調査時のJavaは27%の成長率だったことを踏まえて、Anderson氏は「開発者がフロントエンドにシフトしている」と分析した。
一方の開発者ツールは、過去4年間で283%増のAtlassian Product Suite、GitHub、PagerDutyの名が並ぶ。これらの3製品は「不動のトップ3」(Anderson氏)だという。
最後に多要素認証で用いられるソリューションの順位が報告された。Oktaの調査結果であるため、Okta Verifyがトップに来るのは当然だが、注目すべきは2年前は53%、今回は49%まで下降したSMS認証の存在。
これらの結果をクライアント数ではなく認証数で見ると、SMS認証は2020年2月から10月の間に116%に増加した。全体的に減少傾向にあるSMS認証はコロナ禍で早急にテレワーク環境を構築し、迅速かつ容易に構築できるSMS認証システムを選択した組織が多かったと指摘できる。