経費や出張費などの管理サービスを手がけるコンカー(中央区)は2月10日、デジタル化で請求書業務の改革を目指す「デジタルインボイス構想」を発表した。
請求書管理システム「Concur Invoice」などの自社サービスとパートナー企業が手がけるサービスを連携し、請求書の受領から金額の確定までを包括的にデジタル化。デジタルデータによる高度な請求書管理とガバナンス強化、経理部門がリモートワークできる体制作りを目指すという。
第1弾としてインフォマート(港区)の電子請求書サービス「BtoBプラットフォーム 請求書」、LINE(新宿区)の人工知能(AI)を活用した請求書向けの光学文字認識(OCR)サービス「CLOVA OCR(請求書特化型)」と連携する。

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2019年から「ビジネスキャッシュレス構想」を掲げるコンカーは、経費精算の機能をクラウドで利用できる「Concur Expense」をさまざまなサービスと連携させて経費や領収書のデジタル化を進めているが、新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴い市場のニーズが変化しつつあるという。

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コンカーで代表取締役社長を務める三村真宗氏は「コロナ禍を通じ、請求書のデジタル化ニーズが経費精算(のデジタル化ニーズ)を上回りつつある」とし、経理部門自体に在宅勤務が必要な反面、請求書は紙で処理しなければならないため出社せざるを得ない、という企業が多いと語る。

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請求書のデジタル化と在宅勤務には相関関係があるというオンラインでの自社調査を紹介しつつ、各業務部門の高いニーズから領収書や経費精算のデジタル化が先行していた状況の変化を説明。請求書デジタル化の必要性を訴える。
中でも、調達先のベンダーや品目、時期などがある程度固定化され、電子データ交換(EDI)や電子受発注を活用して取引される“直接材”ではなく、消耗品や販促品といった“間接材”の購買プロセスに大きな課題があると分析する。
「間接材は企業の運営に必要不可欠な反面、内容や取引先、品目などが多岐に及んでいるが、紙や手入力、目視といったアナログな処理が中心。デジタル化が遅れている」(三村氏)。経理部門の業務効率化、在宅勤務を妨げる元凶となるとともに、ガバナンスなどの課題にもなっていると指摘する。

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デジタルインボイス構想は、Concur Invoiceを中核に据えつつ、購買申請(Purchase Request:PR)や購買発注(Purchase Order:PO)、ビジネスインテリジェンス(BI)、予算管理(Budget)、モバイルといったサービスと、受け取りや入力、チェックなどを人力で代行するコンカーのBPOサービス、パートナーによるサービスを掛け合わせて提供。リモート監査や海外での付加価値税(VAT)還付、ECサイトとの連携なども準備しているという。
Concur Invoiceの売り上げを2024年に3倍にするとともに、2020年に22%となった売上構成比率を2024年に40%まで引き上げると目標を掲げる。
「単一サービスではなくさまざまなサービスで包括的に提供するという部分がポイント。コンセプトという意味でも同様のサービスは見当たらない」(三村氏)

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