データサイエンティスト向けサポートの拡張としては、アドオンパッケージ「Vantage Analytics Library(旧Teradata WarehouseMiner)」の無償提供が当たる。高度な分析を行う関数群はVantage Advanced SQL Engineで動作し、記述統計やデータ変換、仮説検定などに利用可能。同機能は「インデータベースで稼働するため、Vantageの並列処理を活用し、リニアな拡張性や100を超える多重実行にも耐えうる性能を提供する」(小永井氏)
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Vantageは以前からAWS Marketplaceで提供していたが、今回新たにAzureとGCPのマーケットプレイスが加わった。これで3大パブリッククラウドへ対応したことになるが、クラウドという観点ではStarburst Dataとの協業によるデータソースの拡張も注目点の1つ。
Starburst DataのPrestoコネクターとの統合に伴い、QueryGridの一部として「Starburst Enterprise Presto」を利用できる。MongoDBやAmazon Redshift、Databricks Delta Lake、Apache Cassandra、Google BigQueryといったクラウド系データソースと接続できる。
前述した30日間無償利用可能なVantageトライアルは、東京リージョンを含むグローバルリージョンで稼働する最新のVantageを使用できる体験版だ。SQLベースの「Vantage Editor」や各アナリスト向けセルフサービス分析ツールの「Vantage Analyst」、データサイエンティスト向け分析ツールの「Jupyter」などを使用できる。アカウントあたり最大10ユーザーまで利用可能。
日本テラデータは今後予定する機能強化として、「外部統合やAPIの強化に加えて、パートナーソリューションやクラウド機能との連携強化、データインジェストやデータカタログ、データ共有、データ管理機能など幅広い強化を予定している」(小永井氏)という。
近日中に一般提供予定の「BYOM(Bring Your Own Model)」は、データサイエンティストが好みのツールで予測モデルを構築する機能である。最初の段階ではPML形式のインポートに対応するが、その後はONNX、MLeapなどの形式もサポートする予定だ。
先行利用している某金融機関は、約700万人の所得予測モデルを構築し、約23秒でスコアリングを実現したと説明。また、別の金融機関は約6時間を要したスコアリングを約4分に短縮しているという。
日本テラデータの2020年度ビジネス成果は2桁成長を継続しつつ、金融やEC・流通サービス、製造、運輸、通信といった幅広い業種での利用拡大が見うけられた。2020年度のTeradata決算発表を踏まえても「日本を含むアジア太平洋地域が第4四半期の成長を牽引している」(髙橋氏)
2021年度の注力領域として日本テラデータは以下を掲げた。
(1)Vantage最新製品のタイムリーな市場投入
(2)既存顧客の活用促進を支援するカスタマーサクセス部門の設立
(3)新規顧客の導入を支援するトライアルの提供
(4)CxO向けデータ活用推進支援
(5)パートナーとの連携強化