富士通、2022年度を見据えた国内事業の再編状況を説明

國谷武史 (編集部)

2021-02-25 12:47

 富士通は2月25日、現在進める国内を中心とした事業再編の現状に関する説明会を開催した。4月1日に「富士通Japan」へのシステムインテグレーター(SI)系のグループ15社が統合されるなど取り組みが本格化する。

 今回の事業再編は2020年7月に発表され、主にはグローバルビジネスおよび大型SI案件を富士通本体、これらを除いた国内ビジネスを富士通Japanが担う体制を構築する。これによる2022年度の業績目標として売上高3兆5000億円、営業利益率10%を掲げており、売上高の37%(1兆7000億円)をデジタルトランスフォーメーション(DX)やITモダナイゼーションのデジタル領域が占めるようにする。

国内の事業を再編について説明する代表取締役副社長 CTOの古田英範氏
国内の事業を再編について説明する代表取締役副社長 CTOの古田英範氏

 代表取締役副社長 CTO(最高技術責任者)の古田英範氏は、再編は「サービスデリバリーの変革」と「国内サービスフロントの強化」の2軸で進めていると説明した。サービスデリバリーの変革では、世界8カ所のグローバルデリバリーセンターと連携する日本でのニアショア組織「ジャパングローバルゲートウェイ(JGG)」を設置。後者では、2020年10月1日に富士通マーケティングや富士通エフ・アイ・ピーを統合して富士通Japanを設立し、2021年4月1日付でこれに富士通エフサスや富士通ネットワークソリューションズなどのグループ企業も統合する。

「ジャパングローバルゲートウェイ」の展開
「ジャパングローバルゲートウェイ」の展開

 古田氏によれば、富士通本体およびグループ各社で重複するビジネス領域や人的リソースなどの集約、統合、再配置を図ると同時に、開発や運用などにおいてグローバル標準の手法を積極的に取り入れることにより、コスト競争力を確保しながらDXなどのプロジェクト案件に対応していく。同氏は、一例でサイバーセキュリティビジネスを挙げ、「グループで分散するリソースと統合することで、顧客のビジネスのライフサイクル全体を保護できるようになる」とした。2021年10月以降にJGGを7000人体制で本格稼働させていくという。

 一方の富士通Japanは、富士通本体が手掛ける大手民需、金融、官公庁、社会インフラを除いた国内民需、自治体、ヘルスケア、文教の各事業を担当する。再編により顧客窓口の一本化やサービス品質の向上、パートナー製品売りからソリューション売りへの転換を図る。また、組織体制も変更する。営業担当者を「ビジネスプロデューサー」に改称してシステムエンジニアと課題解決を求める顧客に対応し、課題解決の方策をデリバリーグループやソリューション開発グループが提供していく。

富士通Japanでの組織体制の変更
富士通Japanでの組織体制の変更

 2022年度の業績目標にあるデジタル領域の推進では、クラウド基盤の活用や人工知能(AI)による商品の高付加価値化などを図るとともに、「日本は世界有数の社会課題先進国」(古田氏)としてDXによる社会課題ソリューションの提供拡大を目指すとした。

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