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調査

コロナ禍で電子署名の需要が世界的に加速--アドビ調査

阿久津良和

2021-02-26 13:48

 Adobeは2月26日、電子署名の利用に関する意識調査の結果を発表した。同日会見したデジタルメディアビジネス エンタープライズ製品担当バイスプレジデントのSimon Longbottomは、「コロナ禍の影響で世界的に電子署名の利用が加速した。収束後も継続するだろう」と語った。

Adobe デジタルメディアビジネス エンタープライズ製品担当バイスプレジデントのSimon Longbottom氏
Adobe デジタルメディアビジネス エンタープライズ製品担当バイスプレジデントのSimon Longbottom氏

 調査は、18歳以上で過去に電子署名を1回以上使用した経験のある4662人を対象に、2020年12月に実施した。4人中3人がコロナ禍収束後も電子署名の利用継続を希望し、他国に比べて日本は電子署名の安全性に対する高い関心を持つことが分かった。同社サービスの「Adobe Sign」の利用率も2020年1月からの1年で前年比220%に増加し、Longbottom氏は、「日本の消費者は電子署名のさらなる採用を求め、特にセキュリティに関しては、より多くの革新を望んでいる」とコメントしている。

 国別で見ると、過去2年間で電子署名を1回以上使用した経験があるのは、フランスが67%、米国が66%、シンガポールが59%、ドイツが36%で、日本は18%と他国の5分の1程度の使用率にとどまる。また、2020年に初めて電子署名を利用した日本の割合は31.2%(グローバルは39.2%)だった。その理由には、「電子署名を使用できる機会もしくはオプションとして提示されなかった」(日本51.3%/グローバル54.3%)、「電子署名が使えることを知らなかった」(31.2%/25.7%)、「直接紙にサインをする方がよい」(15.4%/29.6%)などが挙げられた。

電子署名を初めて利用した割合(出典:アドビ)
電子署名を初めて利用した割合(出典:アドビ)

 電子署名の需要増減では、グローバルが60.1%(非増加は39.9%)だが、日本は51.6%(同48.4%)、米国は57.9%(同42.1%)、欧州は57.4%(同42.6%)、日本を除くアジア太平洋(APAC)は75.6%(同24.4%)と、全世界的な増加傾向が見られた。電子署名の利点としては「便利さ」(日本70.6%/グローバル73.0%)、「無駄な紙の削減」(49.1%/46.8%)、「迅速さ」(47.9%/51.2%)などの声が並んだ。

 政府や企業の電子署名導入に関する期待度に関しては、政府に対する期待度では64.5%(グローバル68.5%、米国66.4%、欧州66.4%、APAC78.3%)で、企業に対する期待度では64.7%(71.5%、71.9%、69.3%、81.6%)となっている。さらに、非導入企業は時代に合致していないと感じる割合は48.1%(59.9%、63.3%、57.1%、73.3%)と全体的に高い。

 Longbottom氏は、「Adobeは新型コロナウイルス流行時に米国シアトル市と協力して、電子文書や電子署名でリモートワーク環境構築を支援した。Adobe Signによる電子署名の取引総数は2~3月で90%増え、3月~4月でさらに36%増加した。サンディエゴ大学も入学サービスやビジネス、財務、教育学部を含む各部署が『Adobe Acrobat DC』やAdobe Signを用い、ルーティングや追跡、署名可能なフォームを作成している」と説明、コロナ禍における電子署名の必要性を強調した。

 実際にコロナ禍の収束後も電子署名の継続利用を望む割合は59.5%(グローバル平均76.3%、米国82.5%、欧州78.8%、APAC83.9%)に上る。電子署名に求められるセキュリティ対策は、「2段階認証」(日本63.6%/グローバル平均54%)、「ドキュメント用パスワード」(59.5%/62.6%)、「ドキュメントを格納するフォルダーの暗号化」(42.6%/45.6%)、「複製を防止する印刷コードの暗号化」(42.9%/43.4%)だった。「日本は2段階認証を最も重視する唯一の市場。他国はドキュメントパスワードの方が人気だった」(Longbottom氏)

電子署名への期待(出典:アドビ)
電子署名への期待(出典:アドビ)

 内閣府は、2020年12月22日に規制改革推進会議で「当面の規制改革の実施要項」を公表し、行政および企業の手続きにおける電子化の行程表を指し示している。アドビ デジタライゼーションマーケティング本部長の小池晴子氏によれば、この流れを受けて日本のAdobe Signユーザー数は2019年当初から現在まで約4倍に増加したという。

 他方で、電子署名の安全性を調査したところ、日本は「安全」(36.8%)や「安全ではない」(19.5%)とする意識が「どちらでもない」(43.7%)を下回り、グローバル平均(安全:66.8%、安全ではない:9.8%、どちらでもない:23.4%)と大きく異なった。「電子署名の安全性について様子見といえる状況。日本で電子署名が普及するにはセキュリティ面や法的な面でも信頼できるという社会的合意がポイントとなる」(小池氏)と分析する。

アドビ デジタライゼーションマーケティング本部長の小池晴子氏
アドビ デジタライゼーションマーケティング本部長の小池晴子氏

 それでも組織では約3割の従業員が電子署名を利用し、約6割が継続利用を望んでいる状況にある。国内では、立命館アジア太平洋大学が教育機関で初めてAdobe Signで手続きの簡便化や国際郵便費用の低減を図った。エイチ・アイ・エスもAdobe Signで契約書作業時間を2週間から1日に短縮し、印紙税や郵送費など月額で約10万円のコスト削減に成功した。ソニー銀行も同様に2~3週間を要した契約業務を最短1時間に短縮し、業務負担やコスト削減、契約件数の大幅増に対応できる体制を構築しているという。

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