「Windows 10」で「サービスとしてのソフトウェア」モデルが導入されてから数年が過ぎたが、その間に、PCの管理者はMicrosoftのアップデート方針はそれほど安定していないということを学んだ。状況は半年ごとに変わる。
まもなくリリースされるバージョン「21H1」を見ればそれが分かる。2019年と2020年の「H1」リリースで確立された流れから考えれば、今回の機能更新プログラムは新機能が満載されたものになると考えるのが普通だろう。
しかし、バージョン21H1には目立った新機能はなさそうだ。むしろ、その規模と影響は、2020年秋にリリースされた「20H2」に近いものになる見込みだ。Microsoftによれば、バージョン21H1は「毎月行っているアップデートプロセスや20H2の提供に使われているのと同様のサービス技術を用いて提供される」「セキュリティ、リモートアクセス、質を向上させる特定の範囲の機能セット」で構成されているという。
Microsoft語に慣れていない人のために、この表現を翻訳してみよう。このバージョンは、すでにバージョン2004か20H2を使っているユーザーに対しては、「イネーブルメントパッケージ」と呼ばれる小型のアップデートとして配信される。インストールにかかる時間は全部で2~3分だが、メジャービルド番号の19041(バージョン2004)や19042(バージョン20H2)と19043の差分を考えれば、時間が短くて済むのも当然だと言えるだろう。
利用しているPCの現在のバージョンを確認するには、[設定]>[システム]>[バージョン情報]の画面で、[Windowsの仕様]の欄を見てほしい。
一方、バージョン1909以前のPCでは、大規模な機能更新プログラムを導入することになるため、インストールにかかる時間はずっと長くなるだろう。
「特定の範囲の機能セット」というのは、今回の更新プログラムで提供される新機能の数が少なく、非常に目立たないものばかりだという意味だ。例えば、「Windows Hello」の生体認証に内蔵と外付けの両方の赤外線カメラを使用できる場合に、どちらのカメラを使用するかを指定する機能を必要とするWindows 10システムがどれだけあるだろうか。(念のために書いておくが、この機能はおそらく十分な年間ライセンス料を支払っている法人顧客からの特別な要望に対応するために作られたものかもしれない)。
いずれにせよ、今回のアップデートは非常に小規模なものなので、Windowsシステムの管理者は、次の機能更新プログラムがリリースされるまでの約6カ月間、思いがけず一息つけることになるだろう。