芝パークホテルは、日立システムズの支援を得ながらデジタル変革(DX)を進め、バックオフィス業務の効率化と接客サービスの向上を実現した。
RPAの活用による業務改善イメージ図
同ホテルでは、宿泊予約管理業務をRPA(ロボティックプロセスオートメーション)で効率化したことで、これまでスタッフが対応していた作業時間を接客サービスの向上や外国籍スタッフへの日本語での接客研修、新型コロナウイルス感染防止対策の徹底に注力できるようになった。
また以前はフロントで接客対応中のスタッフがやむを得ず外線電話も対応することがあったが、今回のDXによって予約業務を担当するスタッフが外線電話の一括対応もできるようになった。
RPAの適用に当たっては、日立システムズのエンジニアが芝パークホテルのスタッフから業務手順を一つひとつヒアリングした上で文書化し、業務に適したRPAツール「BizRobo!」を活用した効率化手法を考案した。これまで、芝パークホテルでは別のRPAツールを使って自動化を試みていたが、うまく適用できない業務があったほか、限られた作業時間の中で独力で推進するのは難しく断念していた。
RPAの活用について、同ホテルでは属人化されていた宿泊予約管理業務における手順の整理・文書化から支援できることを評価した。また日立システムズが ホテル業向けに幅広いサービスの導入実績があり、200社以上にRPAを導入した実績があることなども導入の大きな決め手となった。
導入プロジェクトでは、宿泊予約管理業務の中でも特に煩雑でスタッフの作業負荷が高く、またRPAによる効率化が見込まれる作業を複数選定し、段階的に自動化を進めた。
例えば、ホテルの予約登録では、宿泊予約の多くは予約サイトからの申し込みであり、芝パークホテルのウェブサイト以外からのインターネット予約であってもサイトコントローラー(複数の予約サイトからの予約受付情報を一元管理できるシステム)で集約し、ホテルの施設管理システムへ自動的に反映している。
しかし、システム連携がされておらず、サイトコントローラーで集約できない予約サイトの場合は、ファクスやメールの情報をもとにスタッフが手入力で登録しなければならず、負荷の高い作業の1つになっていた。
今回、RPAにより予約サイトから最新の予約情報を抽出し、芝パークホテルの施設管理システムへ自動登録する仕組みとしたことにより、大幅に業務効率化ができるようになった。
一方、サイトコントローラーで集約し、施設管理システムへ連携された予約の場合、サイトのフォーマットが異なることから、顧客の宿泊履歴をチェックするにはスタッフが検索条件をいろいろと変えながら検索する必要があり、改善が求められていた。
今回、RPAによりさまざまな検索条件から宿泊履歴を自動的にチェックする仕組みとしたことにより、検索漏れも解消し、速やかに検索できるようになった。