Microsoftが、開発者向けに「EcoQoS」をリリースしている。「Windows」に導入された新たなQoS(Quality of Service)レベルだ。
同社は2030年までにカーボンネガティブを達成することを目指しており、EcoQoSは同社の「サステナブルなソフトウェア」に寄与する。この新ツールは、アースデイに合わせて発表されたようだ。
Microsoftによると、開発者はEcoQoSを選択することで、「Windows 10」搭載機器で「エネルギー効率の向上や、バッテリー持続時間の延長のほか、ファンノイズやサーマルスロットリングの低減」を実現できる。
10億台を超えるWindows 10搭載デバイスが利用されており、特にコロナ禍で、それらのPCなどが仕事中やビデオ会議中に集中的に利用されていることを考慮するとインパクトがありそうだ。
Microsoftは、「プロセッサーのクロック速度を上げることでパフォーマンスは向上するものの、指数関数的に電力消費量が増大する」と説明している。
「Windows Fundamentals」のプログラムマネージャーRaymond Li氏は、「電力消費量のこのような増大によって、バッテリー持続時間の減少と、温度の上昇、ファンノイズの増大が引き起こされる。すべてのタスクが極限まで高められたパフォーマンスを必要とするわけではないため、Windowsはプロセッサーの設定を動的に変更し、パフォーマンスと電力効率の適切なバランスを提供している」と述べた。
開発者はEcoQoSを選択することで、高いパフォーマンスを必要としないワークロード、あるいは低レイテンシーのワークロードが常に、より効率的な状態で実行されるよう保証できる。
EcoQoSは4月にリリースされた「Windows 10 Insider Preview Build 21359」でロールアウトされている。Li氏は、「Windowsタスクマネージャー」の新しい実験的な機能「Eco Mode」でプロセスのリソースを抑制できるようになると説明している。Eco Modeの機能は「Dev Channel」で一部のInsiderにロールアウトされている。
Li氏によると、この新しいQoSレベルEcoQoSは、高いパフォーマンスを必要としない、レイテンシーの要件がないワークロードにとって有用だ。「開発者はAPIを呼び出すことで、自らのプロセスやスレッドがEcoQoSとして認識されるよう、明示的に指定できるようになる。後はすべてWindowsが面倒を見てくれる」という。
またLi氏は、「EcoQoSの利用は、バックグラウンドのサービス、アップデーター、同期エンジン、インデックスサービスなど、エネルギー効率が重視される場面で理想的だ」としている。
EcoQoSの初期の評価によると、これらのAPI呼び出しによって、CPUの電力消費量を最大90%削減でき、同じ作業を実行する場合に比べると、CPUのエネルギー消費量を半分以下に抑えられるという。
EcoQoSはまだ、10億台のWindows 10デバイス全てで利用できるわけではない。まずIntelの第10世代、11世代のモバイルプロセッサー、AMD「Ryzen 5000」シリーズのモバイルプロセッサー、Qualcommのプロセッサーシリーズが対象だ。Microsoftは今後、デスクトップPCやほかのノートPCにもEcoQoSを拡大するとしている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。