医療用医薬品などを製造/販売する共和薬品工業は、基幹業務システムをSAPのERP「SAP ECC6.0」から「SAP S/4HANA」に刷新した。新システムは2020年11月に稼動している。
稼動後は、データ処理能力や応答速度といったパフォーマンスが3〜5倍に高まったことで、従来の数十倍のスピードで帳票を作成できるなど、受注/出荷/請求業務の処理時間がこれまでの半分となった。また、クラウド環境で運用することで、システム運用管理工数の削減やシステムの柔軟な変更/拡張も可能となった。
今回の刷新プロジェクは日立ソリューションズがサポートした。要件定義で課題の優先順位を明確にして、カスタマイズ開発する機能や移行データを最小限に抑えることで、9カ月という短期間で構築した。また、同社のAMO(Application Management Outsourcing)サービスを利用することで、システム管理者の運用の負荷を軽減している。
クラウド環境にSAP S/4HANAを基盤として基幹業務システムを構築することで、大量データの高速処理や分析が可能となり、現在の2倍の受注量になってもシステムの増強が不要となった。またシステムへの負荷を意識せずに新たなビジネスにチャレンジすることができるようになったという。さらにAmazon Web Services(AWS)をインフラ基盤とすることにより、99.99%の可用性を実現するとともにDR(災害復旧)環境も構築し、大規模災害時に備えたシステム構成となった。
共和薬品工業は、2007年からインドの後発医薬品メーカーであるLupinグループの1社として事業を展開してきた。しかし2019年12月に再び独立企業になることが決まり、TSA(Transition Service Agreement:M&A対象事業・企業の移行期間中におけるサービス提供に関する契約)の期限である2020年12月までに新システムに移行する必要が発生していた。
共和薬品工業は、日立ソリューションズについて、SAPソリューションに関する130件を超える豊富な導入実績や医薬品業界の豊富な業務知識、稼働前のリハーサルなど慎重かつ実現性の高い計画の提案力を評価した。